観光庁は8月27日、2011年度予算の概算要求を発表した。要求額として、今年度当初予算比3%増の130億8200万円を計上した。前年度から倍増となった2010度予算と同規模を要求。中国を対象とした訪日旅行促進事業は、成長戦略に重点配分する「元気な日本復活特別枠」を活用し、今年度予算のほぼ2倍に増やした。観光圏整備の補助事業では、着地型観光の販売などを担う法人組織を「観光地域づくりプラットフォーム」と位置づけ、補助金を交付する制度をスタートさせる。
訪日旅行促進(ビジット・ジャパン事業)は3%増の88億6700万円。このうち特別枠を活用した中国向けの事業は25億6千万円(地方連携事業や各市場共通の事業費を除く)を計上した。個人観光査証の要件緩和のほか、中国での日本の旅行会社の海外旅行業務の解禁への動きなどを踏まえ、需要拡大に向けたプロモーションなどを拡充する。
中国とともにビジット・ジャパン・キャンペーン(VJC)最重点市場に位置づけている韓国、台湾、香港に向けては、約20億円を充ててプロモーションを強化する。また、VJC重点市場には、訪日客数が伸びているスペインとイタリア、直行便就航で客数の増加が見込まれるUAE(アラブ首長国連邦)とサウジアラビアの計4カ国を追加、計19市場として誘客事業を展開する。
外客誘致の関連ではこのほか、MICE(国際会議、見本市など)の開催・誘致の推進費に4億4300万円、宿泊施設の集積地や空港などの拠点を戦略的に整備する外客の受け入れ環境水準向上事業に1億5千万円、医療観光の環境整備に3千万円などを計上した。
観光地域づくりプラットフォームの支援事業は、今年度の観光圏整備補助事業とほぼ同規模の5億4200万円。プラットフォームとは、着地型旅行商品の販売などを手がけ、市場と地域を結ぶ観光圏の窓口機能を担う地域のNPOや株式会社などの事業体を指す。各観光圏でのプラットフォームの設立準備と、プラットフォームが実施する観光圏整備実施計画に基づく事業に補助金を交付する。
来年の通常国会に関連法案の提出を目指している休暇分散化の関連事業では、分散化の導入促進事業として9800万円を計上。シンポジウムなどの普及事業、分散化の効果検証などに充てる。
このほかに、障害者などの旅行環境の整備に向けて各地域で活動する団体の連携を促すユニバーサルツーリズムネットワーク構築支援事業に3千万円、地域からスポーツ観光のプランを公募して支援する事業に3千万円を計上している。
また、日本政府観光局(JNTO)の運営費交付金を10%増の21億200万円とした。海外事務所の移転経費などによる増額。事務所の移転は、政府の新成長戦略などを踏まえ、外務省所管の独立行政法人・国際交流基金の事務所などと併設させてワンストップサービスの窓口機能を実現するのが目的。来年度は北京やバンコクでの移転を予定している。