岐阜県下呂市の下呂温泉で8日、湯の恵みに感謝する「下呂温泉神社例祭」が開かれた。汗ばむ陽気の中、観光客は温泉街を練り歩く参進行列や「せんごまき」などに触れ、“下呂の秋”を楽しんだ。
同神社は1989年に温泉の限りない湧出と入浴者のご加護を願って建立され、神体は山形県出羽三山の湯殿山本宮から分霊を受けた。下呂温泉旅館協同組合などが毎年10月8日に例祭を開いており、今回で29回目。
旅館会館での例祭神事後、白鷺橋ではふるまい酒や芸妓連奉納祭舞などが行われた。今回は、県重要無形民俗文化財の「谷汲踊り」と飛騨一宮水無神社「闘鶏楽」が特別出演し、祭りを盛り上げた。
1万円分の宿泊補助利用券を包んだせんごまきでは、氏子総代の滝多賀男さん(下呂温泉旅組理事長)らが紅白だんごや菓子を威勢よくばらまき、観光客は競うように拾っていた。
岐阜市から来たという女性グループは「昨年はあいにくの雨で参進行列が見れなかったが、今年は天気にも恵まれ堪能できた。紅白だんごも手に入れ、運が向きそう」と笑顔で話していた。
直会(懇親会)であいさつした氏子総代の滝さんは「下呂のことを考えない日はない。地方は今ひとつ元気がないが、できることは何でもやるのが大事だ」と力強く語った。