生活関係営業の景気動向、改善傾向を維持


 旅館・ホテルなど生活衛生関係営業の景況は、マイナス水準ながら改善傾向を維持──。国民生活金融公庫はこのほど、四半期ごとに実施している「生活衛生関係営業の景気動向等調査」の、今年4〜6月分の結果を公表した。それによると、同期の「売上」「採算」「業況」の各DI(「増加・黒字・好転」とする企業割合から「減少・赤字・悪化」とする企業割合を引いた値)は、いずれもマイナス水準ながら前年同期を上回り、2000年以降で最も高い数値となった。ホテル・旅館業は売上DIで前期比低下したが、採算、業況の各DIで上昇した。

 調査は6月中旬、ホテル・旅館業、飲食業、理容業、美容業など生活衛生関係営業3220企業に、個別訪問面接調査方式で実施した。このうちホテル・旅館業は254企業に聞いた。

 売上DIは前期(今年1〜3月期)から5.2上昇し、マイナス21.2となった。前年同期比では3.2上昇した。

 生活衛生業の売上DIは02年を底に上昇基調が続き、04年4〜6月期に前期のマイナス40台から一気にマイナス27.0に上昇。その後はマイナス20台を維持している。

 来期(今年7〜9月期)の見通しはマイナス9.1で、今期から12.1の大幅上昇となっている。

 売上DIを業種別でみると、「食肉・食鳥肉販売業」「氷雪販売業」「理容業」「美容業」「映画館」「クリーニング業」「飲食業」の7業種で上昇、「ホテル・旅館業」「公衆浴場業」で低下した。このうち「氷雪」「理容」「美容」「映画館」「飲食」は2期連続で上昇している。

 来期の見通しは、「クリーニング」を除く各業種で上昇となっている。

 採算DIは前期から8.6上昇し、マイナス3.4となった。前年同期比では3.0上昇した。

 業況DIはマイナス17.3で、前期から14.8と大幅に上昇した。前年同期比では0.2上昇した。

 採算、業況の各DIを業種別でみると、両DIとも7業種で前期比上昇した。ホテル・旅館業は採算でマイナス9.8、業況でマイナス12.2となり、ともに前期比上昇した。

 業況判断理由としてホテル・旅館業が挙げた事例は次の通り。

 【好転(今期)】「例年4月中旬は宿泊客が減少するが、今年は海外からのリピーターがいつも以上に多く、なかには10日間という長期滞在の団体宿泊客もあったことから、業績は向上した」(大阪府)。

 【好転(来期見通し)】「来期に高校総体が開催されるので、団体の予約客が多数あり、入り込み数については十分期待できる。しかし、団体割引などを行っているために宿泊単価が安く、採算面では厳しい。せっかくのチャンスを好転に向け何とか生かしたい」(佐賀県)。

経営上の問題は「顧客数の減少」
 同調査で「経営上の問題」を聞いたところ(複数回答)、「顧客数の減少」が55.3%で最も多かった。
 ホテル・旅館業でも「顧客数の減少」が55.9%で最多。以下、「店舗施設の狭隘(きょうあい)・老朽化」36.6%、「客単価の低下」34.6%、「仕入価格・人件費等の上昇を価格に転嫁困難」25.6%、「従業員の確保難」13.0%──の順。「特に問題なし」は3.1%だった。

 
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