環境省は2010年6月のホウ素、フッ素にかかわる排水基準見直しに向けたフォローアップのための作業に着手する。10日には2つの検討会を設置、初会合を開く。排水基準見直しは温泉を利用する旅館にとって大きな影響があり、検討会の検討結果が注目される。
設置したのはホウ素・フッ素に係る排水対策促進検討会と、その下に温泉旅館に対する検討を行う温泉分野技術検討会の2つ。
水質汚濁防止法におけるホウ素、フッ素などの暫定排水基準については昨年7月に見直しが行われたが、排水実態や排水処理技術の現状を踏まえて、旅館業を含めた21業種が3年間の期限で暫定排水基準が延長された。
同省は10年6月の見直しに向け、検討会を設け、業界ごとに実行可能な取り組みの実施、専門家による技術的助言、技術開発の促進などを行うことにした。
今回、温泉分野技術検討会を設けたことについて同省は「温泉旅館については施設数が多く、排水中に自然由来の多種多様な成分が含まれており、全国的な排水実態が十分に明らかにされていない。そのため、これらの調査を行うとともに、廃水処理促進のための技術的検討も行う」(水資源課)と話している。
温泉分野技術検討会では当日、これまでの調査結果や対策の確認、温泉旅館の実態把握のための調査計画について検討する。排水対策促進検討会の委員は次の通り。
川村英輔・神奈川県畜産技術センター主任研究員▽酒井幸子・日本温泉科学会評議員▽鈴木一好・農業・食品産業技術総合研究機構上席研究員▽滝沢英夫・中央温泉研究所▽長峰孝文・畜産環境整備機構畜産環境技術研究所▽平沢泉・早大教授▽藤田正憲・高知工業高専校長▽細見正明・東京農大大学院教授▽和田洋六・日本ワコン常務
温泉分野技術検討会の委員は酒井、滝沢、藤田各氏のほか、岩手県環境保全課特命課長の大泉善資氏、秋田県環境あきた創造課環境管理室長の佐々木弘氏が入っている。