源泉を放流式で利用している宿がつくる「源泉湯宿を守る会」(平野富雄会長、55会員)は12日、東京都新宿区の新宿ワシントンホテルで09年度の定期総会を開き、10年度事業として、会員宿の見学会や勉強会を開催し、源泉の適正利用に対する認識を一層高めることを決議した。一般消費者向けの広報策の検討なども進め、会の認知度向上への取り組みも加速させたい考えだ。
総会には会員宿の経営者のほか、会への加入を希望している宿の関係者ら約20人が出席。10年度事業を審議する中で、ホームページでの一般消費者に向けた情報提供や業界専門紙への広告掲載による会員拡大、会の規約に即した源泉を供給する浴槽に掲出する「認定浴槽プレート」の掲出方法などについて意見交換を行った。
また、新入会員に認定証を授与した。
総会後には平野会長によるセミナー「源泉湯宿を守る会会員宿に必須の『温泉』と『温泉源』の保護〜10年ごとの温泉再分析結果を読み解いて温泉源の保護に生かそう」を実施。
平野会長は会員宿に実際に掲出されている温泉分析書を例に分析書の誤りなどを指摘し、「分析書の内容は常に正しいとは限らない。温泉や温泉源の状態を把握するためには、分析結果を確認、評価できる最低限の知識や手法を持つべき」と指摘した。
同会は温泉の成分分析の専門家である平野氏を会長に04年に設立。入会には、源泉または分湯権の所有▽浴槽は源泉掛け流しで、客1人あたり毎分1リットルの目安で給湯されている▽源泉が1年を通して適温で給湯されている▽安全上、加水・加温が必要な場合は性状の変更を最小限にとどめるよう努力し、源泉と浴槽の成分の違いを表示することを義務づけている。また温泉表示も、独自に「宿泊客1人当たりの温泉量」など8つの項目を掲示するよう定めている。
09年度の新入会員は以下の通り。
塵表閣本店(長野県神林温泉)▽源泉かけ流しの宿からまつ山荘(秋田県協和温泉)▽水明館佳留萱山荘(岐阜県新穂高温泉)。
認定証を受け取った新入会員