大相撲の第69代横綱白鵬関が、北海道滝川市の観光大使に就任した。滝川は日本の羊肉の食文化の発祥地とされ、遊牧が盛んで同じく羊肉の食文化を持つモンゴルと縁があるほか、同市とモンゴルの間では民間交流が行われている。同市では「開村120周年記念」の目玉事業として、白鵬関を滝川のイメージリーダーとした観光振興を進めたい考えだ。滝川では委嘱式も開かれ、多くの市民が横綱を歓迎。白鵬関は、滝川の魅力の発信はもとより、滝川とモンゴルとの間の青少年交流や農業技術交流の活性化にも意欲を示した。
滝川市ではこれまでにも、地元の大学にモンゴルの学生を迎え入れたり、JAナタネ生産組合の生産者がモンゴルで栽培指導を行ったりするなどの交流を行ってきた。同市地域振興アドバイザーを務める出村明弘氏(プライムマネジメントコンサルティング代表取締役)が、白鵬関と親交があったことから、観光大使就任が実現した。
白鵬関は今月13日、滝川市役所を訪れ、観光大使委嘱式に出席した。田村弘市長から委嘱状を手渡されると、「滝川は気候がモンゴルに似ている。大相撲の各場所や巡業先で滝川の魅力を紹介したい」と語った。
市役所前庭にはカシワの木を植樹。市内文化公園で行われた交流会には、横綱を一目見ようと3千人を超す市民が集まった。大相撲出身の歌手、大至さんの軽妙なトークの中、白鵬関は滝川名物「味つきジンギスカン」や「創作スイーツ」を試食した。餅つきなどで子どもたちとの交流を繰り広げ、会場にいた相撲の化粧回しをつけた幼児をステージ上で抱きかかえる楽しいハプニングも。市民からは盛んな声援を受けていた。
「大相撲の巡業を滝川でできたら」
同夜には、就任祝賀会が市内の滝川ホテル三浦華園で開かれた。田村市長は「白鵬関とのご縁を大切に、『白鵬米』プロジェクトにとどまらず、『白鵬牛』『白鵬豚』なども推進したい。観光交流や農業の人材交流につなげていきたい」とあいさつした。
白鵬米プロジェクトは、滝川市の専用農場で白鵬米を育ててモンゴルに送るほか、同市が持つ寒冷地での栽培技術を提供してモンゴルに米作を起こそうという事業。白鵬牛、白鵬豚も、交流を通じてモンゴルの食肉のための畜産振興を支援しようという事業だ。
これに対して、白鵬関も「滝川市で大相撲巡業が開催できればよい。白鵬米などを通じてモンゴルと日本の架け橋になりたい」と笑顔で話した。
交流会会場にいた赤ちゃんを抱く白鵬関