専門技術者による検査が必用
建築基準法の改正に伴い、2016年6月1日から防火設備定期検査報告制度が施行された。防火シャッター、防火ドアなど「防火設備」が専門的な定期検査、報告の対象となる。
防火設備定期検査報告制度は、2013年10月に福岡市内の診療所で自動閉鎖するはずの防火扉が正常に作動せず、死者10人、負傷者5人の被害を出した火災事故の事例などを受け、建築基準法の定期報告制度が強化されたもの。
これまでは防火設備の維持管理において定期的な検査報告は特殊建築物検査の一部として実施されていたが、改正により国および特定行政庁が指定する防火設備の所有者(所有者と管理者が異なる場合は管理者)は、1年に1回検査資格者に防火設備を検査させ、特定行政庁への報告が必要となった。
防火設備の検査対象は、(1)防火・防煙シャッター(2)耐火クロス製防火・防煙スクリーン(3)防火扉―。ドレンチャーであり、それらを作動させるためのヒューズ装置、熱感知器、3種煙感知器、連動制御器(受信機)に関して、感知から閉鎖までの一連の流れを検査する。検査資格者は、専門的な技術を有する(1)一級建築士または二級建築士(2)防火設備検査員―のいずれかの技術者。
報告の提出期限は、19年5月31日までは経過措置期間であり、19年6月1日からは全ての検査対象防火設備の報告が毎年必要となる。
各種シャッター製品の修理、メンテナンスを行い、防火設備の点検を推進する文化シヤッターサービスの笹渕俊二取締役防火設備メンテナンス事業部長は「防火設備は火災による被害を最小限に食い止め、安全な避難経路を確保する大切な設備。今回の改正を機に検査を実施し、性能が維持されていることを確認してほしい」と呼び掛けた。「この防火設備の点検を実施していくために文化シヤッターグループには有資格者が約3千人いる。同制度の本格運用に向け、全社を挙げてサポートしていく」という。
防火設備の検査の様子
文化シャッターサービス 笹渕俊二取締役防火設備メンテナンス事業部長
文化シャッターグループは啓蒙、支援に取り組む
6月1日は「点検」の日