全国の商工会議所で唯一「付属専門学校」を運営している札幌商工会議所(高向巌会頭)は、サミット後のさらなる北海道観光進展を目指して、新たに「北海道観光学科」を新設、10月1日から生徒募集を開始する。
札幌商工会議所は2万1500社の会員企業を有し、同校は毎年ほぼ100%の就職率を続けている。新学科設立に当たり、札幌市内ホテル連絡協議会(代表幹事=清水薫ロイトン札幌総支配人)、札幌商工会議所観光委員会(委員長=戸田勇三サッポロビール北海道本社代表)が構想段階からかかわり、講師、インターンシップの受け入れに協力。専門的なスキルだけではなく北海道の魅力を理解し、マネジメントまでできる観光人材の育成を目指している。
同校の友成祥教頭は「専門学校の特徴として、即戦力の人材育成は定評のあるところだが、地域に根ざした自立型の人材育成として『北海道の観光』に特化して学べるカリキュラムを考えた。将来の北海道観光を担うために『北海道に関する学習』『観光に関する学習』『ホスピタリティやコミュニケーションに関する学習』『観光商品企画に関する学習』など、観光業界にかかわる会員企業から寄せられた意見をもとに、新学科を立ち上げることができた。オール北海道での人材育成に期待してほしい」と意気込んでいる。
北海道庁赤レンガ庁舎で6日、「平成20年度地域観光マネジメント人材育成セミナー」(通称・北の観光リーダー養成セミナー)開講式が開催された。平成19年度から地域観光を担う人材育成について検討してきた北海道経済部観光のくにづくり推進局(熱田洋子局長)と、4月から発足した北海道観光振興機構が事務局となり、将来の地域観光を担おうとする34人の受講者を対象に来年3月15日まで8回にわたりセミナーを行う。
開講にあたり、座長の敷田麻実教授(北海道大学観光学高等研究センター)は「ノウハウを学ぶのではなく、自ら考え行動する力を養い、仲間とともに学ぶセミナーとしたい」と語りかけ、熱田局長は「これまでにない、意欲的なカリキュラムで『新たな着地型観光プログラムを創造していく能力』の育成を目指す。現場に入り込んで地域の方と一体となって観光商品を作り出す力を養成していただきたい」とあいさつした。
このセミナーは、余市町民との合同での「地域資源の発掘」実習や、各地の事例をもとにしたテーマについて調査研究し、課題解決の手法を学ぶ「ケースメソッド」、小樽市民との合同でのイベントや旅行商品の企画を行う「プロジェクト研修」など、自ら地域の観光資源を分析し、観光商品を構築するまでのプロジェクト技法を学ぶ意欲的なカリキュラムとなっている。