書評「沖縄観光進化論」下地芳郎著


 前書きの冒頭で著者は次のように述べている。「12年5月15日、沖縄は祖国復帰40周年を迎えました。復帰当時年間約44万人だった観光客は、11年には10倍以上の約542万人まで増加し、沖縄経済に占める観光産業の重要度は飛躍的に高まりました」。実際に12年度の沖縄県の観光予算は92億7千万円。これは他の都道府県の10倍以上で、観光庁予算にも匹敵する金額だ。

 本書は、琉球王国時代から現在までの沖縄観光の歩みを「進化」の途中ととらえ、その過程を検証、今後の新たな進化に向けて考察する。沖縄の歴史を語った本は数多くあるが、沖縄の観光に焦点を当て、345ページにわたってここまで細かく解説した本がかつてあっただろうか。

 各部が80〜100ページからなる全4部で構成。第1部「沖縄観光の歴史〜琉球王国時代に始まった沖縄の観光」、第2部「沖縄の観光政策〜沖縄のリーディング産業を支える」、第3部「沖縄観光危機管理〜危機を機会に変えるために」、第4部「沖縄観光ブランド基本戦略〜世界水準リゾート地への道」となっている。

 著者の下地氏は1982年、沖縄県庁に入庁。カナダ・トロント大学派遣、沖縄県香港駐在員、沖縄県サミット推進事務局などを経て、2011年に沖縄県文化観光スポーツ部観光政策統括監に就任。今春から琉球大学観光産業科学部観光科学科教授・学長補佐。

 12年12月発行。345ページ、2100円(税込み)。問い合わせは琉球書房TEL098(884)7845。

 
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