武蔵野銀行(さいたま市)のシンクタンク、ぶぎん地域経済研究所(同)は10日、埼玉県行田市を舞台とした映画「のぼうの城」公開で、同市への観光客が今後1年間で50万人増加し、観光関連だけで総額21億7千万円の経済効果が見込め、地域経済によい影響を与えるとの調査レポートを発表した。
「のぼうの城」は、安土桃山時代の同市を舞台にした映画で、歴史物としては異例のヒットを記録している。同研究所は映画公開に伴う波及効果について、「観光関連需要」と「映画興行関連需要」に分けて調査した。
観光関連の試算では、観光客数は、これまでの同市の年間入込数約110万人を基に、市や市内商店街関係者へのヒアリング調査、過去の“ご当地映画”の増加動向から、今後1年間で50万人増加する。
観光客の消費支出(直接効果)は、「交通費」と「市内での各種支出」。交通費は、鉄道利用者6割(1人千円)、自動車を4割(同600円)として4億2千万円。土産物代(同800円)や博物館入場料(同200円)、B級グルメ「ゼリーフライ」などの飲食代(同千円)として10億円を見込んでいる。
この結果、観光客の増加による直接効果は年間14億2千万円になる。すでに市内では、観光客の増加に伴い、グッズや土産物の売り上げが5〜10倍に達するなど、実際に効果が表れている。
さらに、観光関連産業の生産増、雇用者の所得・消費増といった間接効果で7億5千万円。
これらを合計した観光関連の経済効果は年間21億7千万円に達する。
映画興行に伴う効果を含めた全体の経済効果は、37億9100万円。同研究所は「興行収入が上振れすれば経済波及効果の金額も当然増加する。(今回試算した)効果は底値としてよい」と、さらなる経済効果も見込めると分析している。