日本銀行はこのほど、地域経済報告(さくらレポート)の7月分を公表した。全国9地域の景気判断は、5地域で前回判断(4月)から上方修正、4地域で据え置きとなり、下方修正した地域はなかった。報告書では背景として(1)生産が海外向け電子部品、生産用機械を中心に増加(2)個人消費が耐久消費財や高額品の販売堅調で上向き(3)災害復旧関連工事が進ちょく―などを挙げている。
北海道は前回の「緩やかに回復」から「回復」に判断を引き上げた。国内観光客が個人客を中心に堅調、外国人観光客がアジアを中心に増加と、観光について好調に推移しているとした。
東北は「緩やかな回復基調を続けている」と、判断を据え置いた。ただ、旅行取り扱いは「弱めの動き」とした。
北陸も「緩やかに拡大」と判断を据え置き。旅行取り扱いは「国内旅行を中心に堅調」とした。
関東甲信越は「緩やかな回復基調を続けている」から「緩やかな拡大に転じつつある」へ判断を引き上げた。旅行取扱額は「底堅く推移している」とした。
東海は「緩やかに拡大」と判断を据え置き。旅行取扱額は「下げ止まっている」とした。
近畿は「緩やかに回復」から「緩やかな拡大基調にある」へ判断を引き上げ。旅行取扱額は「持ち直しつつある」とした。
中国は「緩やかに回復」から「緩やかに拡大しつつある」へ判断を引き上げ。旅行取扱額は「底堅く推移している」とした。
四国は「緩やかな回復を続けている」と判断を据え置き。旅行取扱額は「持ち直している」とした。
九州・沖縄は「緩やかに回復」から「地域や業種によってばらつきがみられるものの、緩やかに拡大している」と、判断を引き上げた。旅行取扱額は、国内、海外向けとも持ち直し。観光面でも国内客が持ち直し、外国人客が増加していることから、全体として着実に持ち直しているとした。
企業などの観光に関わる主な声は次の通り。
「昨年の観光ハイシーズンに、北海道新幹線開業効果から宿泊施設のキャパシティ不足が生じたため、宿泊施設の増築に取り組んでいる」(函館・宿泊)。
「青森空港に22年ぶりの国際定期便が就航したことから、外国人観光客が増加しており、ホテル稼働率や観光施設の売り上げは前年を上回っている」(青森・宿泊)。
「訪日外国人需要を取り込むためホテルの新増設を実施しているほか、客単価を引き上げるために改装を実施している」(京都・宿泊)。
「旅行取扱額は、沖縄やハワイ等へのハネムーン需要が増えているほか、中高年の富裕層を中心にクルーズ船ツアーの販売も好調」(高松・旅行)。
「前年は熊本地震の影響で修学旅行のキャンセルが相次いだが、最近では7割以上が戻ってきており、回復傾向にある」(長崎・観光施設)。