日本観光振興協会は東京海上日動火災保険と連携し、イベント民泊に参加する自宅提供者の経済的なリスクを補償する「団体イベント民泊保険」と、観光イベントのさまざまなリスクを補償する「団体イベント保険」の二つを創設、このほど販売した。地方自治体や観光協会(連盟)を対象にしたもので、イベントに対する精神的、金銭的な負担軽減につながりそうだ。
日観振によると、イベント民泊はイベント開催時に自治体などの要請を受け、自宅を旅行者に提供する行為を指す。多くの旅行者の来訪が見込まれ、宿泊施設が不足する地域でその不足を解消するのに有効な手段とされる。
今年4月には観光庁と厚生労働省が「イベント民泊ガイドライン」を策定。イベント民泊の際、自宅提供者に対する損害保険への加入を奨励することが明記されているが、適切な保険商品がなかったという。このため日観振と東京海上日動が連携して商品化した。
団体イベント民泊保険はイベント時に民泊を実施する自治体が対象となる。イベント民泊中に事故などによって自宅提供者(被保険者)が被った身体障害や、自宅提供に伴い他人の身体障害や財物損害などについて、自宅提供者が法律上の損害賠償責任を負担した場合に被る損害を補償する。例えば火事で宿泊客がけがをした際の損害賠償責任を補償するといった具合だ。
保険期間はイベント民泊の実施期間となる。保険料は自宅提供者数×382円。例えば、花火大会で宿泊施設が満室となることが見込まれるため、自宅提供者100人によるイベント民泊を実施した場合、保険料は3万8200円となる。
補償内容は、自宅提供者が身体に傷を負った場合(傷害担保条項)、死亡・後遺症で1人につき1千万円、入院は1日につき5千円などが支払われる。
団体イベント保険は、年間を通して観光のさまざまなリスクを補償するもので、「観光客受け入れにあたっての安心確保につながる」(日観振)という。地方自治体、観光協会(連盟)などが対象。
例えば、夏祭りでアナウンス不足により将棋倒しが発生、参加者がけがした際の損害賠償責任や初期対応費用を補償する。訪日外国人への通訳雇入費用についても補償する。「生産物(食中毒など)リスク」「花火大会リスク」のオプションもある。
保険料は人口によって変わり、2万5千人未満は3万円、2万5千人以上5万人未満5万円などとなっている。
イベント参加者の身体傷害・財物損壊について、被保険者が法律上の責任を負う費用の補償については、基本補償(賠償責任部分)の場合、対人・対物共通で1人3億円、1事故10億円など。