日本観光振興協会は2月10日、仙台市内のホテルで「観光立国タウンミーティング 東北観光シンポジウム」を開いた。今年の東京五輪・パラリンピック、来年の東北デスティネーションキャンペーン(DC)の追い風をどう東北観光の復興に生かすか、基調講演やパネル討論を通して探った。
共催は東北観光推進機構、日本旅行業協会、全国旅行業協会。300人を超える関係者が集まった。
主催者を代表してあいさつした日観振の久保成人理事長は、「東北の観光客数は東日本大震災以前の水準に回復したが、観光振興にはまださまざまな課題がある」と指摘。その上で「復興五輪と称される東京オリパラの開催、東北6県連携による初めてのDCを好機と捉え、シンポジウムを開くことにした」と趣旨を説明。
来賓の吉田耕一郎・東北運輸局長によると、2019年(1~11月)の東北地方の外国人延べ宿泊者数は約141万人となり、目標とする20年150万人に迫る勢いを見せている。「しかし、4割を占める台湾人旅行者が11月に減少に転じており、新たな課題が出てきている」とした。また、訪日誘客プロモーション「Your Japan2020キャンペーン」に連動して、4月から東北キャンペーンを実施する方針を明らかにし、伝統文化や温泉、アクティビティなど東北ならではの体験プログラムを用意する考えを示した。
当日は、東京都市大特別教授の涌井史郎氏の基調講演、東北観光推進機構会長の小縣方樹氏による基調報告があった。
小縣氏はデジタルを適切に活用し、東北を観光先進地へ導く「デジタルファースト宣言」を行うと共に、東北経済連合会を中心に東北の官民が結集、五輪開催に合わせ、山手線の新駅「高輪ゲートウェイ」(3月14日開業)前で東北のPRイベント、「東北ハウス」(7月18日~8月9日)が開催されることを明らかにした。
パネル討論では佐浦弘一(佐浦社長)、坂巻伸昭(東武トップツアーズ社長)、阪本未来子(JR東日本常務執行役員)、牧野友衛(トリップアドバイザー社長)の各氏が東北観光の復興に向け持論を展開。坂巻氏は回遊と滞在を意識した稼ぐ観光に通じる商品造りを挙げ、「回遊性と滞在時間を延ばすことで地域経済の活性、再訪のきっかけに」と強調した。
東北の観光関係者ら300人が出席、東北観光の在り方を探った