日本旅館国際女将会、旅館の活性化へ講演会


 日本旅館国際女将会(長坂正惠会長=下呂観光ホテルしょうげつ)は12月14日、12月定例会を東京都渋谷区のトリップアドバイザー社会議室で開いた。スパ・ウェルネスコンサルティングのコンセプトアジア社長の相馬順子氏が「新富裕層を狙え 新しく台頭する超優良顧客の実態とそのアプローチ法」について、トリップアドバイザー・ホテル事業部長の斉藤拓美氏が「世界へ届く口コミの影響力とその活用法」についてそれぞれ講演した。

 コンセプトアジアの相馬氏は、富裕層の定義について「主な居住用不動産、収集品、消費財、および耐久消費財を除き、100万米ドル以上の投資可能資産を所有する世帯」と解説した。

 また、その世帯数や属性について「2012年の統計では、世界に約1100万万世帯の富裕層が存在し、米国で約306万世帯、日本で約182万世帯が該当する。富裕層は『高収入ミレニアルジェネレーション』『成功した起業家』『アフォーダブルシニア』『エスタブリッシュメント(名家)』『グローバルエリート』に分類できる」とした。

 その上で「リーマンショック後、富裕層の価値観は大きく転換した。フェラーリより自転車、毛皮よりTシャツが似合う美しい身体といったように、自分や家族の健康に価値を置くようになった」と述べた。

 富裕層の攻略法については「健康維持、愛と幸福感がキーワード。温泉も含めたスパは世界的に人気があり、愛と幸福を満たしてくれる場所でもある温泉旅館は、富裕層が財布のひもを緩める条件が整っていると思う」と話した。さらに「彼らは、プライベートクラブ、子供が通う幼稚園・小学校、趣味、ボランティアなどの富裕層インナーサークルでの口コミを重視する傾向がある」と語り、富裕層コミュニティでの情報流通の有用性を指摘した。

 トリップアドバイザーの斉藤氏は、口コミでランキングを決める3要素を、(1)質=口コミの評価点(2)量=口コミ数の多さ(3)新=口コミの新しさ―と説明。(1)を上げるためには「おもてなし品質を上げる」「コストパフォーマンスを上げる」「指摘事項に対して改善する」といった長期的な改善努力が必要と述べた。一方、(2)(3)については「とにかく口コミを集める」ことが重要で、メインページの写真を見栄えの良いものにするなどの工夫で、短期的に改善が可能だと指南した。

 講演会後の昼食会は、トリップアドバイザー社と同じ「恵比寿ガーデンプレイス」内にある仏料理シャトーレストラン「ジョエル・ロブション」で開催。メートル・ドテル(給仕長)の世界コンクールで、10年に日本人初の世界一となった宮﨑辰氏が、食後にミニ講演を行った。

 宮﨑氏は「西洋料理は縦のサービスだが、旅館のおもてなしは、お客さまと同じ目線で横の関係を築いており、各地の旅館に泊まる度に大変勉強になる。お客さまのために仕事をしているという点で結果的には同じで、努力の積み重ねとチーム力から良いサービス、おもてなしが生まれる点も共通している」と語った。

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