日本旅館協会(針谷了会長)は9月21日、住宅宿泊事業法(民泊新法)の政省令案の公表を受けて、都道府県の支部長に地元自治体などへの陳情を要請する文書を発出した。都道府県、保健所設置市などが民泊の実施を制限する条例を制定する際に、地域の安全、安心の確保などへの考慮を要望。住居専用地区、温泉地、観光の中心地などの区域では、民泊の実施期間を制限するように求めていく。
旅館協会では、民泊を悪用した犯罪、民泊による騒音やゴミ問題といった住民生活への影響などを懸念。規制の違いなどを踏まえた民泊と旅館・ホテルの競争条件の平等化、地域経済の活性化の視点に立った配慮も要望している。
民泊の区域、期間の制限では、制限が必要な区域の事例として、旅館業への規制に準拠して学校などの施設から半径100メートル以内をはじめ、住居専用地区、温泉地、地域観光の中心地、景観や歴史文化に関わる保全地区などを挙げた。これらの区域では、年間「30日以内」を基準として、条例で民泊の実施を制限するよう求める。
省令案には、都道府県が条例を制定する際、市町村の意見を聴取する手続きを行うことが規定されていることから、市町村の意見を条例に反映するようにも要望。都道府県や保健所設置市などに対しては、新法や条例の厳格な施行、民泊に伴う苦情やトラブルへの対応のため、担当部局に十分な人員を確保するように求めている。