日本バス協会は16日、都内で定時会員総会を開いた。上杉雅彦会長(神姫バス会長)は、あいさつで1月の軽井沢スキーバス事故について触れたほか、事業報告で国土交通省が設置した事故対策検討委員会が3日に取りまとめた対策が説明されるなど、スキーバス事故が影を落とす総会となった。
あいさつに立った上杉会長は「軽井沢スキーバス事故は2000年の行き過ぎた規制緩和が原因」と強調。免許制を廃止し許可制にした結果、貸し切りバス事業への参入が増えた中に安全を軽視した悪質事業者が交ざっていたことを事故の遠因とした上で「16年が経過し、後戻りは許されない。利用者=国民のバス業界を見る目は厳しくなっている。バス事業の原点である安心安全の確保、今一度皆さんと再確認させていただく」と述べ、改めて安全確保への決意を示した。
昨年度事業報告では、上杉会長も委員の「軽井沢スキーバス事故対策検討委員会」について説明があった。この中で、貸し切りバスの総合的な安全対策として「事業者、運行管理者等の順守事項の強化」「法令違反の早期是正、不適格者の排除等」「監査等の実効性の向上」「旅行業者、利用者等との関係強化」「ハード面の安全対策による事故防止の促進」の5項目を打ち出し、実現までの工程表を作ったことを説明。旅行業者との関係については、下限割れ運賃の防止など取引環境適正化とランドオペレーターに対する規制のあり方の分野で連携することが重要との指摘がなされた。
今年度事業計画では、訪日外国人旅行者への対応として、クルーズ船入港による100台規模のバスを準備する際、個々のバス事業者の対応だけではなく業界を挙げて取り組むこと、さらに、乗降場所や駐車場の確保を推進することやLCC(格安航空会社)と高速バスを活用した国内観光振興に取り組むことなどが報告された。