「人気温泉旅館ホテル250選」(観光経済新聞社主催)の入選旅館・ホテル有志らで組織する日本の宿懇話会(佐藤義正代表世話人=岩手県・湯守ホテル大観)は13、14日、静岡県稲取温泉の稲取銀水荘で第4回例会を開いた。会場となった稲取銀水荘の経営改革を同館副社長で懇話会メンバーの加藤晃太氏、稲取温泉を抱える東伊豆町の観光振興に向けた取り組みを同町観光協会の石島専吉会長から聞いた。
稲取銀水荘は今年1月に完了したリニューアルに合わせて経営改革を進めている。料理の部屋出しをやめたほか、社員の労働時間削減、休日の確実な消化など、労働環境改善を図った。加藤副社長は「当たり前のことが今までできていなかった。これにより旅館のさらなる地位向上を図りたい」と述べた。
東伊豆町は稲取、大川、北川、熱川、片瀬、白田と六つの温泉地を抱えるが、「個々に活動しており、全体の統一感が希薄」(石島会長)と認識。今後は「各温泉場が一致団結し、『東伊豆ブランド』の形成と周知に取り組む」とした。「東伊豆全体のシンボルとなる場所や、それに付随するまちづくりを進める」計画だ。
懇話会には若手経営者12氏による小委員会「日本の宿文化研究会」(瀧康洋座長=岐阜県・水明館)が8月発足。今後の活動方針について、佐藤勘三郎副座長(宮城県・伝承千年の宿佐勘)が説明した。会では旅館文化を継承、発展させるための研究を文化庁との連携も視野に行う予定だ。
懇話会は「日本旅館の品質向上」「国内観光、国際観光発展への寄与」「後継者育成」「会員同士の親睦」などを目的に昨年発足。約50軒が参画している。
次回の第5回例会は来年5月、山口県長門湯本温泉で開催の予定。
佐藤副座長が研究会の活動方針を報告