朝日旅行会の部会の一つ、日本の宿を守る会(48会員)は10日、美ヶ原温泉(長野県松本市)の旅館すぎもとで通常総会を開いた。任期満了に伴う役員改選では、3期(6年)会長を務めた藤沢秀悟氏(藤井荘)に代わり、小口憲太朗副会長(四季彩一力)を選出した。
冒頭あいさつした藤沢会長は「会は入っていればいいものではなく、自分で勉強しないとどうにもならない」と指摘し、「会に来て仲間と意見交換し、情報を持ち帰って形にして生業を先につなげていく。そういう会にしなければいけない」と会員の心構えを説いた。
今年度は、(1)スタンプを通した顧客の相互紹介活動の徹底(2)花屋(別所温泉)で、登録有形文化財に登録されている施設の見学とおもてなしの研修会を9月に実施(3)総合パンフレットの改訂版作成—などに取り組む。
小口新会長は「東日本大震災以降、リフレッシュ目的だった旅行が、大切な人との絆を深めるものに変化し、地域の文化や人と交流を求めるニーズも強くなった」と強調、その上で「会が創立以来大切にしてきた理念『旅はなさけ』の心を添えたおもてなしをちゃんとやっているかということがこれからの時代に問われる」と述べた。また、情報発信の弱さを指摘し、「新しい試みをして活性化していかなければならない」と述べた。
来賓として、日本秘湯を守る会の岡村興太郎副会長、朝日旅行の井沢啓社長、河野雅巳取締役が出席、あいさつ。
井沢社長は「32年前、会が発足時に掲げた『旅館文化を守り、おもてなしを信条とする日本の宿を守り継承すること』がピタリと会う時代になった」と述べ、810万人といわれる団塊の世代が昨年から65歳を迎え、第2の人生で日本の良さをもう一度振り返ろうとしている状況を挙げ「現状は追い風が吹いている」とした。
また、「会は、宿の個性は違うが、日本の伝統文化、伝統の宿を守ろうとする理念で結びついた団体であり、生き残るためには会のブランド力を確立しなければならない」と会のブランド力の向上を強く呼びかけた。
河野取締役は「朝日旅行は地域を点ではなく面で売っている。面で作る旅行の一番大切なものは旅館であり、旅館を通じて日本の良さや文化を広く伝えたい」と語った。
小口憲太朗会長