旅の文化研究所(神崎宣武所長)は4日、東京都千代田区のメトロポリタンエドモントで第16回の「旅の文化研究フォーラム」を開いた。一般の参加者ら約200人が参加。同研究所が「旅の文化」に貢献した個人などを顕彰する「旅の文化賞」を漫画家の北見けんいち氏に贈った。
北見けんいち氏は1940年生まれの69歳。1979年からマンガ雑誌に連載を始めた「釣りバカ日誌」のヒットで知られる。北見氏が昭和の情景など「忘れてほしくない日本」を描き続けることで、読者の想像を喚起し昭和の街かどの情景へ誘い続けていることや、鹿児島・与論島の島づくりに貢献していることなどを評価し賞を贈った。
このほかフォーラムでは、戦後の招待旅行や海外旅行についてのシンポジウムを開催し、旅文化の変遷などについての考えを深めた。移動や観光をテーマに研究を行っている若手研究者を対象とした助成事業「公募研究プロジェクト」に昨年度採択された研究の成果発表行ったほか、今年度の採択者を発表した。
今年度採択された「第17回公募研究プロジェクト」の採択者と採択テーマは以下の通り。
李孝庭(国際基督教大学大学院博士課程)時代と空間を越える旅行者たち〜19世紀末の朝鮮稚拙の日本体験を中心に▽河野保博(國學院大學大学院博士課程)唐代交通路と「巡礼」の道の復原▽村山絵美(総合研究大学院大学博士課程)沖縄島南部地域における戦跡の観光地化に関する研究▽森本慶太(大阪大学大学院博士課程)現代スイスにおけるソーシャル・ツーリズムの誕生〜スイス旅行公庫協同組合の設立(1939年)とその背景
受賞記念講演を行う北見氏