安倍晋三首相が主宰する観光立国推進閣僚会議は5日、観光振興の行動計画「観光立国実現に向けたアクション・プログラム2015」を決定した。訪日観光では視野に入った2千万人時代の早期実現を目指し、受け入れ環境を整備。旅館業などの生産性を向上させ、観光を「日本経済をけん引する基幹産業」にすることを盛り込んだ。外国人旅行消費額を現状の約2倍の4兆円に増やし、新たな雇用40万人を創出するなど、観光振興で「地方創生」の実現を目指す。
アクション・プログラムは、安倍政権のもとで2013年に初めて策定され、年ごとに改定している。観光庁だけでなく、各省庁の観光関連施策はこのプログラムに沿って実施されている。
インバウンドは、広域観光周遊ルートづくりや四季の魅力の情報発信を強化し、地方への誘客、年間を通じた需要創出に取り組む。査証(ビザ)では、フィリピン、ベトナムなどの要件緩和に取り組むほか、モンゴルに数次ビザを発給する。
観光産業に対する施策では「稼ぐ力」を重視。旅館業に関しては、外国人誘客へのブランディングと情報発信を強化するほか、経営の効率化、収益拡大のための教育プログラムを構築する。免税店では地方の店舗数に目標を掲げ、現状の約6600店を20年に2万店規模に増やす。
観光地域づくりでは、観光地経営を担う組織「DMO(destination management/marketing organization)」の構築を促す。求められる機能などを整理したマニュアルを作成し、先進事例をつくるためのモデル事業や人材育成を推進する。
外国人旅行者の受け入れ環境整備では、2千万人、その先の3千万人の受け入れに際し、宿泊施設、バス、航空などの供給能力が制約要因とならないように対策を進める。宿泊施設では、受け入れに「比較的余裕」のある旅館、地方の施設への誘客を促進。旅館や温泉の利用マナーなどの情報も積極的に海外に発信する。貸切バスでは、営業区域の弾力化などの対応方針を検討する。
東京オリンピック・パラリンピックを見据えた観光振興では、ユニバーサルツーリズムの環境整備、ハード、ソフト両面のバリアフリー化を促進していく。