政府は15日、「国際会議の開催・誘致推進による国際交流拡大プログラム」をまとめた。11年に主要な国際会議の開催件数を05年比5割増の252件とするためのアクションプラン。開催・誘致を国家戦略に位置づけ、官民を挙げて取り組む。具体的施策には、誘致活動経費の民間への助成などを盛り込んだ。
開催件数を5割増とし、アジア最大の開催国を目指す目標は、安倍晋三首相が所信表明演説で示した。国際会議の開催・誘致を通じて国際社会での日本の地位向上を図り、国際交流を拡大、観光との組み合わせで地域活性化につなげる。
政府は5月30日、省庁を横断した局長級会合を開き、同プログラムを決定した。今月15日の閣僚懇談会では、安倍首相がプログラムに沿った開催・誘致拡大への取り組みを大臣らに指示した。
目標の252件を達成するには、毎年7.0%ずつ開催件数を増加させる必要がある。主な施策には、(1)開催・誘致活動を具体化するための基本戦略策定(2)一元的なコンサルティング窓口の設置(国土交通省国際観光課内の国際会議主催・誘致推進室が担当)(3)誘致活動に対する支援策(4)開催・受け入れ支援策──などを挙げた。
誘致活動に対する具体的な支援策では、首相、官房長官、大臣などが招請状を発出し、トップセールスで誘致をサポートするほか、民間が主体となる誘致活動への経費支援、国が主催する会議への予算上の措置などを講じる。
国際会議の開催件数はUIA(国際団体連合)によると、2000年には、日本が237件でアジア首位の世界13位、次いで中国が189件で14位だった。しかし、05年には中国が216件で世界11位、日本は168件の17位に後退し、韓国、シンガポールにも追い抜かれた。
アジア諸国が国際会議などの開催を主要産業に位置づけ、国を挙げて誘致に動いているのに対し、日本は、国としての戦略や支援策の整備が立ち遅れている。複数都市の開催立候補による国内競合や、開催・誘致に関する人材、ノウハウの不足も課題となっている。