“廃墟の女王”「旧摩耶観光ホテル」のクラウドファンディング保存計画が進行中


 

 “廃墟の女王”「旧摩耶観光ホテル」をクラウドファンディングで保存するプロジェクトが進行中だ。詳細は次の通り。

 

 廃墟を保存するためのNPO法人によるクラウドファンディングを利用したプロジェクトです。1993年に閉業後も独特の美しさを保つ『旧摩耶観光ホテル』は「廃墟の女王」という異名で人気を集めています。地元団体による月に1度の見学ツアーは、募集開始1分以内に20名の定員が埋まるほどの人気です。

 全国に残されている産業遺産の記録・見学を行うNPO法人J-heritage(所在地:兵庫県神戸市、総理事:前畑洋平)は6月29日、「旧摩耶観光ホテル」保存プロジェクトを開始しました。国内最大手のクラウドファンディングReadyforを利用するプロジェクトで、目標金額は500万円です。募集期間は8月29日23時までとなっており、様々なリターンが用意されています。目標金額に達しない場合は、全額、支援者に返金予定です。

 

 

▼Readyfor(近代化遺産を未来へ、旧摩耶観光ホテルをみんなの力で守りたい):https://readyfor.jp/projects/mayakankohotel

 

■ホテルルームキー、調査同行、記録撮影参加といった多彩なリターン

 

 旧摩耶観光ホテル(通称:マヤカン)の保存プロジェクトは、NPO法人J-heritageと、歴史的建造物の保存・活用を図るヘリテージマネージャーのネットワーク組織であるNPO法人ひょうごヘリテージ機構H2O神戸(理事:松原永季)、旧摩耶観光ホテルの所有者である日本サービス株式会社(代表取締役:三原正裕)で構成されるチームで運営しています。

 

概要は以下のとおりです。

 

<旧摩耶観光ホテル保存プロジェクト>

 

・タイトル:近代化遺産を未来へ、旧摩耶観光ホテルをみんなの力で守りたい!

・目標金額:500万円(目標金額に達成しない場合、全額支援者に返金されます)

・募集期間:2017年6月29日12:00〜8月29日23:00

・リターン例

3000円:保存プロジェクトからサンクスメール

1万円:摩耶観光ホテルルームキーか摩耶観光ホテルメモ帳セット

2万円:【200名限定】旧摩耶観光ホテル保存に向けた調査に同行(撮影可)

10万円:【20組限定】少人数!旧摩耶観光ホテル保存に向けた記録撮影に参加(1回)

*1万円以上のコースにはすべてサンクスレターがつきます。調査への同行、撮影に参加の詳細については、保存プロジェクトのサイトをご覧になってください。

 

 

 

 今回のプロジェクトでは、旧摩耶観光ホテルの歴史的・文化的価値を位置づける登録文化財の申請を目指し、2019年11月までのおよそ2年間、申請に必要な資料作成のための調査や、耐震診断に必要な資料作成を行っていきます。2019年11月30日までに完了予定ですが、申請が通過しない場合があることは、予めご理解ください。

 

●調査内容

第1期:登録文化財申請及び耐震診断予備調査(計24回)

・平面実測及び劣化度調査(4回程度)

・立断面実測及び劣化度調査(6回程度)

・展開実測及び劣化度調査(6回程度)

・詳細実測調査(4回程度)

・周辺状況等現況調査(4回程度)

第2期:安全確認調査

・劣化箇所の経過確認及び補備危険箇所の調査(1回/月)程度

 

 また、地域住民が懸念する不法侵入を防ぐために設置した機械警備及び防犯カメラの費用回収も行いたいと考えています。さらに、これ以上の建物の劣化を防ぐために、雨漏り対策を屋上部分に実施し、旧摩耶観光ホテルを未来に手渡すためのソフト・ハード両面での整備を進めていきます。

 

■1929年建築の旧摩耶観光ホテル、別名「山の軍艦ホテル」

 

 旧摩耶観光ホテルは1929年(昭和4)に神戸市灘区の摩耶山中腹450mの場所に建てられ、軍艦を連想させる外見から「山の軍艦ホテル」と呼ばれていました。昭和初期にオープンしたものの、第二次世界大戦を経て一時運営が休止され、終戦後に再び営業を再開。しかし、経営難から1993年にその歴史に幕を下ろしました。

 

 

 

 閉業後は、そのままの状態で放置され、ホテルに設置されていたダンスホールやビアガーデン、浴室、食堂、客室などは残ったままです。閉業から20年を経て、摩耶山中の草木に囲まれた斜面で年月を重ねた建物は独特の美しさを保ちつつ、朽ちていくその姿から「廃墟の女王」と呼ばれています。

 

 

 

 今では国内外を問わず多くの廃墟マニアから愛され、テレビや雑誌などで取り上げられています。近年、地元団体による月に1度の見学ツアー(外観のみ)が人気となっており、募集開始から1分以内に20名の定員が埋まるほどの人気ぶりです。

 

■旧摩耶観光ホテルを守り廃墟を観光資源にしたいという思いからスタート

 

 廃墟となった建物は、長い年月を生きてきた軌跡があり、それは近代遺産となり得るものです。廃墟が持つ、朽ちていく過程で見せる固有の「廃墟美」は、放置したままだと本当に朽ちて消えていってしまいます。

 

 旧摩耶観光ホテルは、経年劣化による損傷が激しく危険であることから、現在は完全に立ち入り禁止です。しかし、一部の廃墟マニアの方などが無断で侵入し、窓ガラスを割ったり、建物内部の品を破損したり、内部で火を使うこともありました。地域住民から警察・消防への相談も多く寄せられ、所有者も解体を検討せざるを得ない状況となっています。

 

 

 

 

左から松原永季(NPO法人ひょうごヘリテージ機構H2O神戸:理事)、:前畑洋平(NPO法人J-heritage:総理事)、三原正裕(日本サービス株式会社:代表取締役)

 

 私たちは旧摩耶観光ホテルを守ることで、人々を魅了する廃墟と地域を結び、観光資源として新たな命を吹き込む、「消えゆく近代化遺産の新たな保存・活用の事例」を作ろうと考えました。そこで「廃墟の女王」が登録文化財として、後世でも生き続けられるように、このたびの保存プロジェクトを立ち上げました。

 

今後も同様の廃墟を守りたいと思っています。

 

 

<特定非営利法人J-heritageについて>

 

産業遺産の記録・見学を行うことを目的に2009年に設立。

2012年に全国の産業遺産を紹介する書籍「産業遺産の記録(三才ブックス)」を出版。

近年では姫路モノレール大将軍駅や奈良少年刑務所の見学会を行うなど、全国の産業遺産を巡る旅「ヘリテージツーリズム」を企画運営している。

 

本社:〒652-0812 兵庫県神戸市兵庫区湊町1-2-22-1306

代表者:総理事 前畑洋平

設立:2009年12月

電話番号:078-599-5337

URL:https://www.j-heritage.org

事業内容:

・産業遺産の記録

・産業遺産をめぐるヘリテージツーリズム、スタディーツアーの実施

・産業遺産の保存活用のお手伝い

・産業遺産に関する写真提供、記事の執筆、印刷物の作成

 

 

【一般の方向けのお問い合わせ先】

企業名:NPO法人J-heritage

担当者名:前畑 洋平

TEL:078-599-5337

Email: jheri1225@gmail.com

 
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