帝国データバンクはこのほど、TPP(環太平洋パートナーシップ)に関する企業の意識調査を行った。TPP協定が自社に与える影響について、旅館・ホテルの29.7%が「プラスの影響」と回答した。業種別では飲食店、家具類小売に次いで3番目に高い数字。「食品や家具類の仕入れ価格低下ほか、旅行客の増加が期待される業種が上位に挙がった」(同社)。
回答企業全体の16.3%が「プラスの影響」、7.3%が「マイナスの影響」と回答。最も多いのが「分からない」の38.5%で、「影響はない」(37.9%)も多かった。
「プラスの影響」と回答した割合が高い業種の4位以下は、人材派遣・紹介(29.2%)、機械製造(29.1%)、輸送用機械・器具製造(29.0%)、飲食料品・飼料製造(28.7%)、飲食料品卸売(26.5%)、精密機械、医療機械・器具製造(25.9%)、飲食料品小売(24.7%)。 逆に、「マイナスの影響」と回答した割合が高い業種のトップは農・林・水産の65.6%。2位の医薬品・日用雑貨品小売(22.2%)を大きく引き離している。
3位以下は、飲食料品卸売(19.0%)、家電・情報機器小売(17.1%)、飲食店(16.7%)、飲食料品・飼料製造(15.5%)、飲食料品小売(15.1%)、繊維・繊維製品・服飾品卸売(12.4%)、繊維・繊維製品・服飾品製造(10.5%)、電気・ガス・水道・熱供給(10.0%)の順。
回答企業からは「海外輸入食料品の原価の逓減(ていげん)に期待」(旅館、宮城県)、「関税の撤廃で、輸出.輸入とも当社に有利に働くと期待」(食料品加工機械製造、静岡県)、「農産物の市場への販売業者として、農家の対応、市場の今後の状況などが不安」(野菜卸売、沖縄県)、「協定の細目がわからないので対応もできない」(医薬品小売、岡山県)などの声があった。
TPP協定が自社にプラスまたはマイナスの影響があると回答した企業に、具体的にどのような影響が想定されるか聞いたところ、プラス面では「原材料コストの低下」が38.9%とトップ。以下は、「輸出の増加」(32.9%)、「売り上げや利益の増加」(30.5%)、「調達ルートの拡大」(17.9%)、「自社の競争力向上(貿易・投資ルールの統一化・透明化・簡素化などによる)」(11.2%)など。
マイナス面では「販売価格の低下」(27.9%)がトップで、以下は「新規参入の増加による競争の激化」(23.0%)、「売り上げや利益の減少」(19.0%)、「新たなルールに対応する組織・商習慣の変更」(14.6%)など。