帝国データバンクはこのほど、全国企業対象の景気動向調査の10月分を公表した。同月の景気DI(0〜100、50が判断の分かれ目)は前月比0.2ポイント増の44.8と、3カ月ぶりに改善した。業種別では、旅館・ホテルが同3.1ポイント増の61.4と、3カ月ぶりに改善。このほか建設、卸売などが改善。小売、運輸・倉庫などが悪化した。同社では国内景気について「天候不順などの悪材料が低減したことで悪化傾向は一服したものの、業種による景況感の格差が一段と拡大している」とした。
DIを10の業界別で見ると、建設、卸売など5業界で改善。小売、運輸・倉庫など3業界で悪化。2業界で前月並みだった。
このうち卸売は同0.3ポイント増の41.5と、3カ月ぶりに改善。「訪日旅行客の増加でビジネスホテルの改修などもあり、セメント卸売や木材・竹材卸売、サッシ卸売などの景況感が上向いた」(同社)。
半面、小売は同0.6ポイント減の41.6と、2カ月連続で悪化した。「実質賃金の伸び悩みで、個人消費関連が低調」(同社)。
旅館・ホテルを含めたサービス業は、前月並みの49.6だった。
51の業種別では、旅館・ホテルのほか、飲食店(同3.9ポイント増の49.2)、再生資源卸売(同4.1ポイント増の29.9)などが高い伸びを示している。
10の地域別では、5地域が改善した。このうち北関東は同0.7ポイント増の43.3と、2カ月ぶりに改善。「前月の集中豪雨による影響が和らぎつつあり」(同社)、6県中4県が改善した。「個人観光客が徐々に回復する中で」(同)、旅館・ホテルなどのサービス業が2カ月ぶりに改善した。
企業の規模別では、大企業が同0.2ポイント増の48.4。中小企業が同0.1ポイント増の43.7。小規模企業が前月並みの43.2。
現在または先行きの景況感の主な回答は次の通り。
「消費税増税による反動減が緩和されたことに加え、インバウンド需要が貢献している。また秋らしい季節の到来となり秋冬物の商品の出荷が好調に推移している」(現在、良い、医薬品製剤製造)。
「インバウンドは多少収束した感があるが、高額品の消費には陰りがそれほど見られない」(現在、どちらでもない、菓子小売)。
「都市部とは異なり、百貨店での消費意欲の上昇が見込めない。インバウンドも若干あるが、東京・大阪のような爆発力は地方にはない」(現在、悪い、百貨店)。
「外国人観光客の増加を見込んで、宿泊施設の建設・改装ラッシュが本格的に始まってきており、2019年ラグビーワールドカップや2020年東京五輪に向けて建設・内装・業務用家具業界は活況を呈すると思われる」(先行き、良い、家具・建具卸売)。