整理回収機構(RCC)は15日、栃木県川治温泉で「湯けむりの里 柏屋」を経営する株式会社柏屋ホテル(片山則夫社長)の破産手続き開始を宇都宮地裁に申し立てた。これを受け宇都宮地裁は同日、保全管理命令と包括的禁止命令を発令した。事業は継続し、今後新たなスポンサーのもと、早期の再生を目指す。再生を前提とした破産手続きは珍しい。
保全管理命令と包括的禁止命令では、財産処分権が保全管理人に所属し、すべての債権者に対し強制執行が禁じられる。今回、柏屋の事業継続に必要な預金や売上金の差し押さえが懸念されたことから、RCCが私的整理による事業再生を断念した。
また、民事再生や会社更生手続きは手続きが厳格などとして、新たなスポンサーへの早期の事業譲渡には、破産手続きが最適と判断した。
柏屋は客室67室、収容335人で、平成17年6月期の売上高は8億2790万円。
RCCは18年2月、足利銀行から柏屋の債権約28億円を譲り受け、柏屋と再生に向けた協議を続けてきた。