宿泊施設の固定資産税評価を見直しへ


 観光庁は、検討を進めていた旅館・ホテルの建物にかかる固定資産税の評価の見直しについて税制改正で改めて要望する。年数の経過に伴う減価の基準が見直され、多くの施設で負担の軽減につながるとみられるが、具体的な内容は税務当局などとの調整を経て、年末に決定する税制改正大綱に盛り込まれる。改正内容は2015年度分から適用される。

 見直しは、宿泊業団体などが要望活動を展開し、11年度の税制改正大綱に検討事項として盛り込まれ、12年度の税制改正大綱で見直しが決定していた。観光庁は宿泊業団体の協力を得て、建物の使用、改修の実態調査を進めるなど、見直しに向けた検討を進めていた。

 建物にかかる固定資産税は市町村税で、総務相が告示する評価基準に基づく評価額に一定税率をかけて算出される。評価基準の見直しは3年ごとで、次の見直し時期は15年度。このため今年の年末に内容を決定し、地方自治体などへの周知期間を経て15年度分から適用される。

 建物の固定資産税に関しては、旅館・ホテル業界から「何年経過しても建物の評価額が下がることがなく、負担が重い」「改装、改築を頻繁に行う使用実態からして経過年数が長過ぎる」などの指摘が出ていた。

 見直されるのは、建物の新築からの経過年数を評価額に反映させる基準。基準は、建物の価値が年数の経過とともに減少し、ある年数を過ぎると一定になるという考え方に基づく。鉄骨鉄筋コンクリート造、鉄筋コンクリート造の旅館・ホテルの建物の場合、最も低い評価額に到達するまでに50年もかかる。この年数を使用実態を踏まえて短縮し、減価のペースを速めると実質的な減税につながる。

 
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