今年1月に開幕した奈良県の「平城遷都1300年祭」が盛り上がっている。県観光振興課や1300年祭記念事業協会の調べによると、平城宮跡会場(奈良市)や各地の関連イベントなどへの来場者数は、上半期(1〜6月)だけで延べ約930万人に達し、観光客らが県内で消費した金額は約326億円に上ると推計される。9月にはアジア太平洋経済協力会議(APEC)の観光大臣会合も控えており、「1300年祭の好調さを持続し、大臣会合を無事に終わらせ、(1300年祭の)フィナーレにつなげれば、奈良の知名度は一気に上がるはず」と関係者は期待する。
主会場の平城宮跡会場(4月24日開幕)には当初予想の約2.3倍となる147万人が足を運んだ。「第一次太極殿」の復元が大きなインパクトを与えたと見られる。団体客の来場も多く、約6千団体に上る。うち約5千団体が一般で、中部方面からの団体が32%を占めている。以下、県外近畿28%、中四国14%、関東10%と続く。
県内各地の関連イベントには当初予想の約1.5倍、延べ780万人が訪れた。特に、法隆寺や東大寺など約50寺社が参加し、初めて実施された「奈良大和路秘宝・秘仏特別開帳」や特別講話には約135万人が足を運んだ。聞き取り調査では、大半の社寺で前年と比べ2〜4倍の客足があった。
旅館・ホテルの宿泊客も増加。抽出調査によると、4〜6月の宿泊客数は、奈良市内(8軒)で前年同期比56%増の約16万2千人、橿原市など中和地区(7軒)が同45%増の約4万8千人、吉野郡など南和地区(7軒)は同2%増の約1万8千人となった。
ただ、奈良県は慢性的な宿泊施設不足が指摘されており、「1300年祭に加え、観光大臣会合などで(国内外から)ドッと人が押し寄せれば混乱を招きかねない」と懸念する向きもある。
「せんとくん」効果も大きい。新聞や雑誌、テレビなどメディアへの露出を広告換算するとその額は約193億円に達した。ライセンスグッズも約200アイテム、1500種類に及び「契約額は約39億円」になったという。県内外での活躍も目立ち、イベントなどへの出演回数は438回に上った。
気になる評価だが、平城宮跡会場や各イベント会場でアンケート調査したところ、イベントや出展物の内容に対しては、「大いに満足」「やや満足」が約50%で、「非常に不満」「やや不満」は約15%だった。
9月22〜23日には奈良市でAPEC観光大臣会合が開かれ、政府要人を含めた多くの外国人が訪れる。奈良の魅力をアピールする絶好の機会ともなりそうだ。
第一次太極殿