国土交通省は、「旅館業に係る金融に関する研究会」を発足させ、14日、旅館団体の会員などを委員に初会合を開いた。旅行形態が変化する中、旅館業はニーズに対応した施設の整備や更新をせまられているが、金融機関からの資金調達には困難も多い。研究会では、問題点や施策のあり方などを検討し、08年度の制度改正要望につなげていく。
国交省の花角英世観光事業課長は「観光客受け入れの顔である旅館の経営がきびしい。地域の活性化からも、観光立国の推進からも重要な問題。ともに知恵を出し合いたい」とあいさつ。委員からは現状について報告があった。6月までに計4~5回の開催を予定。テーマに応じて金融庁や中小企業庁、中小企業金融公庫などの担当者とも意見交換する考えだ。
旅館業界は、団体客から個人客への移行といった旅行形態の変化、価格競争の激化、宿泊需要の減少などにさらされ、装置産業であるために過去の借入金も重く、経営面に問題を抱える旅館が少なくない。さらに地方金融機関の不良債権処理、公的金融機関の融資政策など、金融をめぐる環境の変化に設備投資もままならない状況がある。
国交省では07年度制度改正で、旅館団体なども要望した、中小企業金融公庫の特別貸付の融資期間延長について最長20年から25年にするよう求めたが、認められなかった。
委員構成は次の通り。
小原健史(全国旅館生活衛生同業組合連合会会長、和多屋別荘社長)▽岩井美晴(全国旅館生活衛生同業組合連合会経営改善・金融委員長、奥城崎シーサイドホテル社長)▽八木眞一郎(国際観光旅館連盟理事・中部支部副支部長、あわらの宿八木社長)▽尾花朋之(スパークス取締役)▽斎藤源久(日本観光旅館連盟常務理事・東京支部副支部長、ホテルニューショーヘイ社長)▽川野雅之(日本観光旅館連盟企業再建問題専門委員、川野コンサルティング社長)、花角英世(国交省観光事業課長)=敬称略
研究会の初会合