国土交通省は9月1日、ニューツーリズム創出・流通促進事業の追加募集分として支援するモニターツアー25件を発表した。応募があった87件の中から選定した。工場群の景観をテーマに京葉臨海工業地域(千葉県)を巡るツアーや健康づくりをテーマに草津温泉(群馬県)で行うヘルスツーリズム、自転車で琵琶湖(滋賀県)を巡るエコツアーなどが入った。
ニューツーリズム旅行商品の創出に向けて、旅行会社を含む地域の観光関係者が企画したモニターツアーに補助金を交付する事業。昨年度からの継続事業として実施されている。今年度に支援するモニターツアーは、すでに採択済みの46件を加えて71件になった。
採択されたモニターツアーには、ヘルスツーリズムや産業観光、エコツアーなどが多い。
例えば、草津温泉を生かしたヘルスツーリズムは、健康づくり大学草津温泉キャンパス運営協議会が申請。熟年層などをターゲットに温泉療法講座や健康ウォーク、ヘルシーな食事などを提供する。
「究極のエコツアー〜びわ湖をめぐる地産地消グリーンサイクリング」は、地元のNPOが申請した企画で、自転車で琵琶湖を巡りながら、地域の農業などにまつわる交流・体験メニューを盛り込んでいる。
最近一部で話題になっている工場群の景観美を題材としたツアーも登場。名称は、「“工場に萌えろ”テクノスケープの宝庫、京葉臨海工業地域堪能ツアー」。千葉大学地域観光創造センターが申請。今年10〜11月に催行し、バスと船上から工場群を楽しむ。
このほかにも、鎌倉市(神奈川県)で催行される高齢者や障害者を対象とした「初詣・人力車とまわるエコなユニバーサルデザイン・ツアー」、京都市(京都府)では大学生の感性を取り入れた「大学生がプロデュース『京の和魂洋才・京都ナイトカルチャーツアー』」などユニークなモニターツアーが各地で実施される。
流通促進が課題 推進協で議論に
国交省は8月29日、ニューツーリズム創出・流通促進事業の推進協議会を開いた。旅行会社の担当者や学識経験者などでつくる協議会で、今年度は2回目の開催。商品創出には一定の成果が出てきたことを踏まえ、流通促進に向けた施策に軸足を移す必要性などが議論された。
事業を統括する事務局からは、昨年度支援したモニターツアー47件のうち、10件程度が実際に旅行商品化されていることが報告された。
一方で、委員からは「事業を離れて販売する場合、誰に、どうやって、いくらで売るのか、流通を念頭によく整理する必要がある」(大社充・エルダー旅倶楽部理事長)などの指摘もあり、マーケティングのあり方、地域と旅行会社の連携などが課題に挙がった。
また、同事業では、流通促進の方策の1つとして、ニューツーリズムの旅行商品を掲載するデータベースをウェブ上に開設している。現在の掲載ツアーは22件だが、秋以降に催行されるモニターツアーが順次掲載される予定。閲覧者として登録する旅行会社は275事業所になった。