旅行業者が受注型企画旅行契約を結ぶ際、相手が事業者であれば、合意した特約に基づいて取消料を設定することが可能になる。新たに旅行業約款(通称・受注型BtoB約款)を観光庁または都道府県に申請し、個別認可を受けることが条件で、7月1日から受け付けが始まる。
招待旅行や報奨旅行など、契約相手が事業者であるケースで活用できる。日本旅行業協会(JATA)、全国旅行業協会(ANTA)では、モデル約款を提示し、会員旅行会社への周知に努めている。
JATAによると、受注型企画旅行のほとんどは海外、国内を問わず団体旅行。招待旅行などのように契約の相手は事業者であることも多い。傾向として受注から旅行実施までの期間が長く、大量の客室や航空座席を確保することも多いが、旅行が取り消されても、標準約款の規定を超えて取消料を収受することはできなかった。
標準約款は、旅行契約者と旅行参加者が同じ人である前提で作成されている上、旅行業者と消費者の間には情報量や交渉力に格差があるとして、契約解除に関して消費者の保護が重視されてきた。
しかし、契約相手方が事業者である場合にはこうした格差はなく、旅行業者が負うリスクだけが大きいとして、JATAなどが観光庁に見直しを要望していた。
ただ、消費者保護は引き続き重視されている。招待旅行などを行う事業者と、旅行参加者との契約で、旅行参加者が自己都合などで不参加の際、標準約款の取消料規定の上限を超える負担が生じることになっていると、旅行業者と事業者間の合意に基づく取消料規定は無効になる。旅行業者は、事業者と旅行参加者の契約内容を把握しておく必要がある。