7月上旬に開催された北海道洞爺湖サミットの効果をいかに北海道観光につなげるか、また10月に発足する観光庁への期待とこれからの観光立国を考える「北海道観光シンポジウム」が4日、北海道観光振興機構、国土交通省、北海道の主催で、札幌市のホテルポールスター札幌で開かれた。
観光業界や自治体関係者など300人以上が参加した。北海道観光振興機構の坂本眞一会長、国土交通省の尾澤克之北海道運輸局長のあいさつの後、第1部基調講演では、国の観光立国推進戦略会議委員を務める異文化コミュニケーター、マリ・クリスティーヌさんが「アジア、特に中国、インドの人口爆発時代に、日本観光に対する需要は拡大し、インバウンド1千万人の目標はより早く達成するのではないか」との見通しを示し、「世界の富裕層から評価される観光地作りに知恵を絞るなど、グローバルな視点で対応していくことが重要だ」と指摘した。
続いて第2部として、高橋はるみ北海道知事のあいさつの後、本保芳明・国土交通省総合観光政策審議官、赤岡洋・北海道経済部参事監、佐藤誠之・日本旅行業協会北海道支部長、大西雅之・阿寒グランドホテル社長、富山保夫・ホクレン農業協同組合連合会管理本部長、マリ・クリスティーヌさんによるパネルディスカッションが行われた。
本保審議官は観光庁設置の意義と観光行政について説明。パネリストから観光庁への期待と要望が出された。今後の北海道観光について、クリスティーヌさんは「観光客にストーリーを感じさせるイメージ作りと発信の仕方に工夫が必要では」、富山部長は「観光に来ていただいた方たちが、母国に帰ってから北海道ブランドの農産品を購入するという効果が極めて大きい。観光は食の大切さを知ってもらうチャンスでもあり、グリーンツーリズムなどで都市と農村の共生を図って行きたい」、赤岡参事監は「観光客数を下支えする域内観光を充実させる必要がある」、大西社長は「観光に関する地域支援を長期スパンで考えてほしい」と、それぞれ提言した。
北海道観光シンポジウム(4日)