北海道、台風被害の風評払拭注力


 8月に相次いだ台風の豪雨被害に伴い旅行、宿泊のキャンセルなどの影響を受けている北海道は、秋の観光シーズンを迎えて風評被害の払拭、観光需要の回復に懸命だ。道庁では、ほとんどの観光施設は通常営業で、各地のイベントも予定通り開催されるとして、道内外に観光、旅行を呼びかけている。関係機関では観光プロモーションなどを順次展開する予定。観光団体などは、観光復興に向けた国の支援を要望している。

 北海道ホテル旅館生活衛生同業組合(会員761施設)が実施した調査によると、8月から2017年1月にかけての宿泊キャンセル数は、507軒の回答分だけで延べ5万1598人(9月16日までの集計分)。このうち95%を道東・道北地区が占める。予約前の旅行控えも、宿泊キャンセルの約3倍に上ると試算している。

 1日、北海道ふるさと移住定住推進センター(東京・有楽町)の開設行事に出席した高橋はるみ北海道知事は、「8月後半以降、道東を中心に(宿泊などの)キャンセルが出ている。ただ、北海道は広く、総じて見れば(観光施設は)平常営業している。北海道は元気だ」と述べ、正確な情報の発信に引き続き注力していく考えを示した。

 また、高橋知事は、旅行会社の応援キャンペーンなどに感謝の意を示すとともに、道内の観光客の多くが道民であることを踏まえ、「道民に向け、被災地支援のためにもっと道内旅行をしようというキャンペーンも展開したい」と語った。

 道庁では、9月28日に補正予算を成立させるなど復旧・復興緊急対策をまとめた。観光施策では、情報発信の強化とともに、観光プロモーションを北海道観光振興機構などと連携して実施する。被害を受けた観光・商工事業者に対しては金融機関を通じて低利融資などを行う。

 政府は9月23日、一連の台風を激甚災害に指定し、被災した自治体に対する復旧事業などの財政的な支援を開始した。他方で観光団体などはさらなる国の支援策に期待。日本旅館協会は9月26日、針谷了会長、西野目信雄北海道支部連合会会長の連名で観光庁に要望書を提出。北海道観光の活性化に向けて、道内の高速道路の無料化、被害の大きい地域などを対象にした宿泊割引制度の創設などを求めた。

特急などが運転を再開 JR北海道
 JR北海道は、台風被害からの復旧工事が進み、札幌―北見・網走間の特急「オホーツク」、普通列車の石北線・上川―白滝間が1日に運転を再開したと発表した。

 札幌―帯広・釧路間の特急「スーパーおおぞら」「スーパーとかち」は、「少なくとも11月末まで運転再開は困難な状況」だが、臨時特急、臨時快速、代行バスで同区間の輸送を行っている。

 普通列車の根室線・富良野―芽室間は当面の間運休だが、富良野―東鹿越間は10月中の運転再開を目指している。

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