勢いづく民泊ビジネス、楽天参入、海外勢も意欲


民泊新法の施行を見据えてビジネスが活発化(5月に東京で開かれた「バケーションレンタルEXPO」)

 住宅宿泊事業法(民泊新法)が通常国会で成立したことを受け、民泊ビジネスが勢いづいている。世界的な民泊仲介サイト、エアビーアンドビーが日本でテレビCMを開始したほか、楽天が不動産・住宅情報サイトの運営会社との共同出資で事業会社を設立して民泊への参入を表明。エクスペディアグループの民泊仲介サイト、ホームアウェイは、楽天などが設立した民泊事業会社との業務提携を発表した。民泊新法の施行を見据え、日本国内の民泊ビジネスが拡大しそうだ。

 民泊新法成立の3日後の6月12日、米国サンフランシスコに本社を置くエアビーアンドビーは、日本で初めてとなるテレビCMでのPRを開始した。法律の施行はまだ先で、違法民泊の問題が解消されたわけではないが、民泊に合法化への道が開かれたことを強く印象付けた。

 楽天は6月22日、不動産・住宅情報サイト「ライフルホームズ」を運営するライフル(本社・東京都千代田区)との共同出資で設立した「楽天ライフルステイ」を通じた民泊事業への参入を表明。新法施行に合わせて仲介サイトを開設する。エアビーアンドビーの日本国内の登録物件数と言われる約5万件を超える物件の確保を目指す。

 米国テキサス州オースティンに本社を置き、世界190カ国の200万件以上の民泊物件を扱うホームアウェイは7月3日、訪日外国人の民泊事業に関して楽天ライフルステイとの業務提携を発表。ホームアウェイは、家主不在型の一軒家、別荘、古民家など、プライベート感を重視した貸し切りの物件に強みを持つことから、業務提携により日本国内の地方やリゾート地の貸し切り物件の獲得を狙う。

 中国を中心にアジアの民泊仲介サイトも日本市場に注目。民泊新法成立に先立つ5月27日、東京都内で開催された民泊ビジネスの展示会「バケーションレンタルEXPO」には、途家、自在客、住百家、小猪、AsiaYo!などが出展した。訪日客の増加を追い風に、日本国内の民泊物件の獲得、拠点市場からの送客を強化する構えだ。

 民泊新法は6月16日に公布され、公布の日から1年を超えない範囲で、政令で定める日に施行される。政府は今後、運用の詳細について政省令、ガイドラインなどの規定を整備する。

 民泊新法の成立を受けてエアビーアンドビー・ジャパンの田邉泰之代表取締役は6月9日、「日本のニーズを反映したシンプルで分かりやすく現実的な法律が成立したことを大変うれしく思う」「地域社会に配慮し、持続可能な形で、ホームシェアを含む住宅宿泊事業が日本全国で普及するよう、引き続き日本政府、地方自治体や関係者の皆さまと協働させていただく」とのコメントを発表した。

 民泊新法は、民泊事業者(家主)に対し年間提供日数180日の上限を課す。民泊が周辺の生活環境を悪化させる場合には、都道府県などが条例で実施を制限できる規定も設けられている。

 180日規制や条例制限について、ホームアウェイ日本支社の木村奈津子支社長は、7月3日の記者発表の中で「ファーストステップとして180日制限もよいのでは。供給側の問題というより、これだけインバウンドが増え、ニーズが多様化しているので、180日制限の中で実際に訪日外国人の需要にミート(合致)しているのかという観点で再調整すべきエリアも出てくるのではないか」と指摘した。

 中国・上海に本拠を置く民泊仲介サイト、自在客の張斌副CTO共同経営者は5月27日の「バケーションレンタルEXPO」のセミナーで「ロンドンは90日、アムステルダムは60日などの規制があり、日本の180日は海外と比べて厳しいとは言えない。マンスリーなどの短期賃貸で補う方法もある。ホストをサポートし、東京五輪に向けて事業を拡大したい」と意欲を示した。

 
新聞ご購読のお申し込み

注目のコンテンツ

第37回「にっぽんの温泉100選」発表!(2023年12月18日号発表)

  • 1位草津、2位下呂、3位道後

2023年度「5つ星の宿」発表!(2023年12月18日号発表)

  • 最新の「人気温泉旅館ホテル250選」「5つ星の宿」「5つ星の宿プラチナ」は?

第37回にっぽんの温泉100選「投票理由別ランキング ベスト100」(2024年1月1日号発表)

  • 「雰囲気」「見所・レジャー&体験」「泉質」「郷土料理・ご当地グルメ」の各カテゴリ別ランキング・ベスト100を発表!

2023 年度人気温泉旅館ホテル250選「投票理由別ランキング ベスト100」(2024年1月22日号発表)

  • 「料理」「接客」「温泉・浴場」「施設」「雰囲気」のベスト100軒