全国旅館生活衛生同業組合連合会(全旅連、小原健史会長=佐賀県・和多屋別荘)は1月23日、大阪府池田市の不死王閣で「女性経営者の会.大阪オープンセミナー」を開いた。滋賀県雄琴温泉.湯元舘の針谷了社長が「実学・旅館経営」をテーマに、自館が経営の現場で実際に取り組んでいる事例を中心に講演した。旅館経営者、協賛企業など約70人が参加した。
針谷氏は旅館経営には「心が積極的であることが大切」と指摘。経営力の向上を図るには経営理念、方針、目標を明確にし、料理の盛り付け一つについても全社統一のルールに則り社員が行動するべきとした。
また、今ある経営資源の見直しも必要と、過去に旅館の近くの名庭園を開放してもらい、年間2万人の利用者を超えるヒット企画が誕生した事例を紹介した。
さらに「人の差は教育の差」とし、研修時に使用する研修日報と新入社員研修報告書を紹介。そのほか、全社員で実践している各現場での問題点と対策法を記入した「改善メモ」や、社員同士で感謝の気持ちを表す「ありがとうカード」を紹介。「ありがとうカード」は、記入した人には月に千円を限度に1枚に付き100円、された人には一枚に付き100円を支給するユニークなもの。
その他、「勘経営」からの脱却を図るために「損益計算書より賃借対照表を重視すべき」「毎月在庫確認をし、月次決算を行う」など、さまざまな提言を行った。
第2部では全旅連の小原健史会長から全旅連の活動報告が行われ、各旅館の経営者が活発な意見交換を展開した。
全旅連の女性経営者の会(略称=JKK)は、女性経営者ならではの悩みを解決する場として、04年に有志で発足。今回はオープンセミナーとして、男性を含めて会員以外も参加できるセミナーとした。
講演する針谷氏