全旅連、観光地活性化事業を「モデル地区」3ヵ所で推進 


10月29日に行われた5回目の委員会

 全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)の中小宿泊施設観光総合対策委員会(井上善博委員長=福岡県・六峰舘)は、中小宿泊施設の活性化策の一環で、全国の観光地の誘客をサポートする事業をこのほど始めた。既に3カ所のモデル地区を選定。誘客のアクションプランを地域と連携して作り、地域主導で事業を進める。全旅連は多くの成功事例を作り、ノウハウを全国に広めたい考えだ。

 事業の舞台となる「賑(にぎ)わい観光創造モデル地区」は、秋田県男鹿市、群馬県中之条町(四万温泉)、熊本県阿蘇市の3カ所。モデル地区候補を9月から都道府県旅館ホテル組合を通して募集したところ、10月29日までに12地区のエントリーがあった。

 この中から「エリアに中小規模の宿泊施設が一定程度存在している」「地域のまとめ役、キーパーソンが存在している」「訪日外国人のさらなる受け入れに意欲的な施設が多い」など九つの選考基準をもとに、全国を「北エリア」「中央エリア」「南エリア」に分けてそれぞれ1地区、合計3地区を選定した。

 委員会には全旅連の役員ほか、観光庁観光産業課の多田浩人課長、楽天の担当者らが参画。既に5回の会合を開いたほか、10月17日に男鹿市、同23日に阿蘇市で現地視察と現地関係者を交えた今後の事業展開に関する検討会を開いている。今月14日は四万温泉でも現地視察を行った。

 男鹿市では地域特性を生かした誘客のアクションプランを早期に作成し、優先順位を付けて推進するとしている。プランを作成するための協議会を現地の関係者とともに設立する予定だ。男鹿市では県が策定した「男鹿地域半島振興計画」が2015~24年度の期間で推進されているが、アクションプランを同計画に反映させることを目指す。

 阿蘇市では16年の熊本地震からの復興を目指し、地域連携DMOの阿蘇地域振興デザインセンターが17~21年の5カ年にわたる観光復興計画を策定、推進している。委員会では同計画終了後も見据え、現地の関係者とさらなる復興計画を策定する考えだ。

 10月29日、東京の全国旅館会館で開いた第5回委員会で同委員会を担当する大木正治・全旅連副会長(愛媛県・ホテル葛城)は「三つのモデル地区の(客数の)数字が伸びるよう、結果を出さなければならない」と強調。今後、モデル地区を追加募集し、10~15カ所程度に広めたい考えも示した。

 全旅連は昨年、定款を一部変更し、目的に「観光立国の実現推進」を追加。観光振興に関わる事業を推進している。委員会で全旅連の多田計介会長(石川県・ゆけむりの宿美湾荘)は「3地区が地方の観光振興、中小旅館・ホテル活性化の良い先行事例になれば」と述べている。 


10月29日に行われた5回目の委員会

 
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