帝国データバンクはこのほど、全国企業対象の景気動向調査の昨年12月分を公表した。同月の景気DI(0~100、50が判断の分かれ目)は前月比0・9ポイント増の50・9で、2002年の調査開始以来の最高(2014年3月、51・0)とほぼ同水準となった。規模別では「中小企業」「小規模企業」が過去最高。業種別では旅館・ホテルが低下した。
DIは7カ月連続の改善で、2017年は2月以降、5月の横ばいを除き全ての月で改善した。「製造業の好調に年末需要も加わり、景況感の改善が業界、規模間で広がるなど、国内景気は拡大した」と同社。
企業の規模別では、大企業が同0・9ポイント増の53・0。中小企業が同1・0ポイント増の50・4。小規模企業が同1・1ポイント増の49・8。中小企業と小企業が過去最高となった。
10の業界別では、サービス、製造、運輸・倉庫の3業界が過去最高だった。
このうちサービスは同0・5ポイント増の53・0。サービス15業種では、旅館・ホテルが同3・9ポイント減の48・0と、2カ月ぶりに低下し、判断の分かれ目の50を割り込んだ。このほか娯楽サービスが同3・2ポイント増の42・2。飲食店が同2・0ポイント増の44・9。
10の地域別では、北関東、東海、近畿の3地域が過去最高。9地域が前月比改善し、悪化は北海道のみだった。東海(同1・3ポイント増の52・5)は自動車関連が好調。近畿(同1・8ポイントの50・8)は旺盛なインバウンド需要で、初の50台となった。北海道(同0・2ポイント減の48・4)は微減にとどまった。
企業の景況感に関する主な声は次の通り。
「東京五輪に向けてインフラ設備の改修工事が引き続き多い」(現在、良い、建築工事)。
「訪日客の動向が変わり、バスの利用が減っている」(現在、悪い、一般貸し切り旅客自動車運送)。
「九州水害の影響がいまだに残っている」(現在、悪い、旅館)。
「2019年10月の消費税率引き上げに向けて、前倒しで需要が発生しそう」(先行き、良い、各種食料品小売)。
「世界的な紛争や経済的ショックがない限り、訪日外国人旅客数は堅調に推移することが予想されている」(先行き、良い、飛行場)。
「東京五輪まではインバウンドなどにより、需要が引き続き高い水準にあると思われる」(先行き、良い、旅客輸送)。
「大河ドラマの『西郷どん』に期待したい」(先行き、良い、旅館)。
好調な旅行関連に加え、東京五輪に向けてゼネコンなど土木・建設業界への恩恵が期待できる(先行き、良い、精密機械器具卸売)。