帝国データバンクはこのほど、全国企業対象の景気動向調査の7月分を公表した。同月の景気DI(0〜100、50が判断の分かれ目)は前月比1.1ポイント増の42.4と、4カ月ぶりに改善した。1年5カ月ぶりに10地域全てが改善。「国内景気は前月までのマイナスショックの影響が徐々に和らぎ、悪化傾向が一服した」と同社。業種別では、旅館・ホテルが同1.0ポイント増の47.8と、2カ月連続で改善した。
「熊本地震、燃費不正問題、イギリスのEU離脱問題など、前月までのマイナスショックの影響が和らぎ、悪化傾向が一服した」と同社。
51の業種別では、悪化は娯楽サービス、農・林・水産など10業種のみだった。
10の業界別では、農・林・水産、不動産を除く8業界が改善した。このうち旅館・ホテルなどのサービスが同1.1ポイント増の47.8。運輸・倉庫が同1.5ポイント増の41.5。小売が同1.6ポイント増の39.3。
10の地域別では、全てが改善した。このうち九州は同1.7ポイント増の44.2と、2カ月連続で改善。熊本地震からの復旧・復興で土木事業関連が多く発注されるなど、建設業が2カ月ぶりに改善した。
都道府県別では熊本県が同8.0ポイント増加し、前月の25位から3位に上昇。「政府による九州観光を支援する”九州ふっこう割”の効果が一部で表れてきている」と同社。
規模別では、大企業が同1.5ポイント増の46.6。中小企業が同1.0ポイント増の41.3。小規模企業が同0.7ポイント増の40.3。4カ月ぶりに全規模で改善した。
企業の景況感の主な回答は次の通り。
「観光客数の増加が著しく、これに関連した設備投資が旺盛であることに加え、域内の人口増加に伴う個人向け住宅、アパート、マンションが堅調に推移している」(現在、良い、建設工事)。
「引き続きビジネスホテル案件と民泊案件が多く発生している」(現在、良い、家具・建具卸売)。
「選手村用の建物、来訪者用のホテル物件など東京五輪関連の物件が増えている。ホテルはインバウンドの影響で稼働率80%以上のホテルが多く、改修や新築が多数ある」(現在、良い、配管・暖房・冷凍装置・同付属品卸売)。
「ホテルベッドメイク業務に携わっているが、稼働率90%以上をキープしている」(現在、良い、ビルメンテナンス)。
「熊本震災とその後の長雨の影響が、観光関連業種に特に大きく響いており、風評リスクの払拭に苦労しているため、夏休み以降の旅行シーズンに向けて政府の施策も打ち出されており、業況回復が期待される」(先行き、どちらでもない、信用金庫・同連合会)。
「顧客の積算依頼状況から、建設計画は賃貸マンションやビジネスホテル系が増えている」(先行き、良い、一般管工事)。
「2017年初めより長崎新幹線工事が始まる」(先行き、良い、建設用金属製品製造)。
「今後も人材不足は継続して行く見通し」(先行き、悪い、老人福祉事業)。