帝国データバンクはこのほど、事業継続計画(BCP)に対する企業の意識調査を行った。BCPを策定している企業は14.7%にとどまり、「現在策定中」や「策定を検討している」企業を合わせても44.9%と半数に満たなかった。業界別ではサービスが18.1%。従業員別では数が多いほど策定が進んでいる。
調査では、BCPを「策定していない」が最も多く45.6%。以下、「策定を検討している」22.8%、「策定している」14.7%、「分からない」9.5%、「現在、策定中」7.4%。
策定している割合は前年調査(14.3%)から0.4ポイント上昇。ただ、2年前の2016年調査(15.5%)から0.8ポイント低下している。
BCPを策定している企業を9の業界別に見ると、金融が39.0%と最も高い比率だった。次いで、農・林・水産21.2%、サービス18.1%、製造15.9%、運輸・倉庫15.7%―など。最下位は不動産の10.3%だった。
従業員数別では、千人超が46.0%と半数近くが回答。ただ、数が減るごとに回答割合も減り、301~千人が39.7%、101人~300人が26.6%、51~100人が20.8%など。5人以下の企業は4.5%にとどまった。
企業からは「自社の人員体制や組織等が明確になった」(娯楽サービス)と、BCP策定の効果を述べる一方、「小規模企業の場合、実践的に使用できるのか疑問が残る」(一般貨物自動車運送)という実効性を疑問視する声が挙がっている。
BCPを既に策定、または策定を検討している企業に、どのようなリスクにより事業継続が困難になると想定しているか複数回答で聞いたところ、地震、風水害、噴火などの「自然災害」が69.1%と突出して高かった。以下は「設備の故障」40.7、「火災・爆発事故」35.4%、「情報セキュリティ上のリスク」35.1%、「自社業務管理システムの不具合・故障」34.8%など。
サービス業に限ると、自然災害が67.5%、情報セキュリティ上のリスクが55.3%、「情報漏えいやコンプライアンス違反の発生」が46.6%と、情報関係の回答が増える。
BCPを策定または策定を検討している企業に、事業が中断するリスクに備えてどんなことを実施または検討しているか、複数回答で聞いたところ、「従業員の安否確認手段の整備」(71.2%)、「情報システムのバックアップ」(62.3%)、「事業所の安全性確保(建物の耐震補強、設備の転倒・落下対策など)」(44.5%)などが上位に挙がった。