全国の温泉、観光地の旅館・ホテル経営ノウハウに定評があるリョケン(静岡県、佐野洋一社長)は8、9の両日、群馬県伊香保温泉の「お宿玉樹」で「特別セミナー」を開いた。全国の旅館・ホテル経営者、幹部社員約50人が参加。お宿玉樹女将の関口明子さんが「いつの日も玉樹の情緒(こころ)そのままに」、社長の関口征治氏が「不易流行」と題して講演した。
女将の関口さん=写真=は、具体的事例を挙げ「女将としての気配り」について説明。「自然界から多くの旅館経営のヒントをもらってきた。榛名に芽吹く山野草の輝きを館内に取り入れ夢を描いてきた。まさしく『経営とは思い入れ』だ」と強調。
関口社長は「玉樹の不易は『女将の情緒』がすべてであるが、情緒は数字にできない。就任後、現金、支払主義から発生主義に変えた。研修先の湯元館(大津市)でMOT(マネージメント・オブ・テクノロジー)、つまり『経営を科学すること』を学んだことが大きい」と強調。現時点で22室で5億円を超す売り上げであること、また、今期は80%以上の部屋稼働率を目指すとの発表もあった。
2日目はリョケンの佐野社長をはじめ役員から「事例に学ぶ『魅力的な宿づくり』」を発表。(1)接客の心に火をつけるための自発性の引き出し方=場づくり、お膳立て、経営者の熱い思い、繰り返し(2)理念共有で組織活性化の進め方=理念の必要性、具体化、共有、浸透の手法(3)魅力ある商品企画とは=一番の見どころを強調する、わかりやすい情報説明と価格情報、多様性をもつ、思い切ったアイデア、お客さまの指示、商品と販促の連動のあり方(4)心をつかむ館内演出のあり方=知恵を使った商品、モノが語るサービス、館内は宝の山、実行はスピードが大切—など具体策を提案した。
リョケンの木村会長は「経営力の差が拡大傾向にあるが、『学び、且(か)つおこなうものは必ず勝つ』」と持論を述べた。