メタ観光推進機構がシンポジウム まちの観光化で意見交換


オンラインでシンポジウムを開催

物語、価値の見直しが重要

 メタ観光推進機構(牧野友衛代表理事)は4日、オンラインシンポジウム「メタ観光とまちづくり~まちを観光化する~」を開催した。國學院大學観光まちづくり学部長・教授の西村幸夫氏、三菱地所エリアマネジメント企画部・大丸有エリアマネジメント協会事務局長の大谷典之氏、ライフルホームズ総研所長の島原万丈氏らが登壇した。

 メタ観光とは、地域の文化資源・魅力の多彩な見えない価値(アニメ聖地やインスタ映え、微地形など)を多層レイヤーのオンライン地図に可視化して楽しむ新しい観光のこと。一つの場所に多様な価値が存在することを示すことで、日本中のあらゆる場所が観光スポットになり得るという考えのもと、2020年11月にメタ観光推進機構が発足し、普及活動を行っている。

 同シンポジウムで西村教授は、「まちの歴史を観光資源化する」と題して、山梨県甲府市の武田神社、甲府城、甲府駅のそれぞれを起点とするまちの変遷を解説。1903年の甲府駅開業以降、まちの構造が変化してきたことなどを示した。

 大谷事務局長は、「都市観光の観点からみた丸の内仲通り」で講演。大丸有(大手町・丸の内・有楽町)の活性化のため、1970年代は「月曜から金曜までの街」と呼ばれ、週末は閑散としていた大丸有の目抜き通り「丸の内仲通り」を、歩道拡張、街路樹整備、定期的なイベント開催などにより、にぎわいのある観光資源に変身させた事例を紹介した。

 島原所長は、新書「本当に住んで幸せな街 全国『官能都市』ランキング」を2015年に光文社から出版した動機について「都市の本当の魅力を可視化する新しい物差しを提案するため」と説明。「再開発により都市は均質化し、飲み屋横丁など”都市のダークサイド”が失われつつある。『この街、なんかいいよね』という感覚的な価値をどう測るかを模索した」と話した。具体的な評価軸としては、(1)共同体に所属している(2)ロマンスがある(3)匿名性がある(4)機会がある(5)食文化が豊か(6)自然を感じる(7)街を感じる(8)歩ける―を挙げた。

 同機構の伏谷博之理事の司会で3氏によるパネルディスカッションも実施。西村教授は「インバウンドバブルの時代は少ない努力と投資でも観光客を呼べたが、コロナ禍で状況は様変わりした。もてなす側にとって、近隣から訪れるマイクロツーリズム客を満足させるのは遠方客よりもハードルが高い」と指摘。その上で「横丁でもお土産物でも、いかにそこに物語をつけることができるか、もう一度自分たちの価値を見直して、プレゼンテーションできるかが重要。次のバブルが訪れる前に準備しておく必要がある」と指南した。

オンラインでシンポジウムを開催

 
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