北海道運輸局とビジットジャパン(VJ)大使の会、北海道観光を考えるみんなの会主催による「ビジットジャパン大使の集い」が13日、札幌市の札幌プリンスホテルで開かれた。13人のVJ大使が集まり、北海道観光について道内関係者と共に語り合った。交流会では地元短大生によるYOSAKOIソーランの演舞が行われ、VJ大使も踊りに加わり、懇親を深めた。
総合司会を務めた山崎まゆみ大使(温泉エッセイスト)によると、集いはこれまで、大阪、大分、栃木、沖縄、新潟の各府県で開かれており、今回の札幌で6回目となる。テーマは「北海道観光の未来と可能性」。
第1部の基調講演・パネルディスカッションには観光関係者ら約250人が出席した。
主催者を代表して同運輸局の石﨑仁志局長とみんなの会の笹本潤一会長があいさつ。石﨑局長は「VJ大使は現在56人おり、活躍の場は観光のみならず多岐にわたっている。本日は13人の大使に集まっていただいた。これからの道観光に向け貴重なご意見をいただき、未来の姿を共有したい」と述べた。
笹本会長は、16年度の訪道外国人観光客が230万人となり、前年度比10・6%増と好調に推移していることを報告。また、道出身のVJ大使がいないにも関わらず、集いが開かれたのは「(大使が)道観光の将来性や可能性に強い思いを持っているから」と指摘し、議論に期待した。
来賓として、日本政府観光局(JNTO)の山崎道徳理事、観光庁の伊地知英己国際観光課長が出席。山崎氏はプロモーションを効果的に実施するためデジタルマーケティングを来年度から本格化させること、伊地知氏は稚内など道内6空港が訪日誘客支援空港に認定され、着陸料などについて大幅な補助金が出されることなどをあいさつに盛り込んだ。
基調講演は高橋正美大使(富士箱根ゲストハウス代表)と東良和大使(沖縄ツーリスト会長)。「北海道観光の未来と人材育成」をテーマに話した高橋氏は、「道の経済成長をリードする人材の育成が最重要課題だが、同時に異文化摩擦やトラブルが生じた時は何が正しいかで対処して、道民の誇りと自信を保つことができる『人間成長力』に注力していけば、未来は明るく活気のあるものになる」と強調した。
パネルディスカッションは吉澤勉大使(ジャパンショッピングツーリズム協会理事)がモデレーターを務め、荒牧大四郎(歌舞伎座舞台社長)、甲斐賢一(ホテル風月HAMMOND代表取締役)、李容淑(リンカイ代表取締役)の各大使と、みんなの会副会長の西野目智弘氏がパネラーとなり、持論を展開。
「日本で一番足りないものが夜のエンターテイメント」(荒牧氏)、「個人の外国人客が増えているが、ホテルの対応がまだできておらず、受け入れ態勢づくりが課題となっている」(西野目氏)、「外資の参入が盛んになっている。企業や住民でなく、中立の立場にある行政が役割を発揮すべきだ」(甲斐氏)などの意見が出た。
交流会には約150人が出席。来賓の水嶋智観光庁次長は「今回の集いが北海道観光の盛り上げにつながることを期待する」と述べた。アトラクションの武蔵短大生16人によるYOSAKOIソーランで場は一気に盛り上がり、VJ大使らも笑顔で踊りに参加した。