パレスホテル東京(東京都千代田区)は4月20日、記者懇談会を開催した。グループ全体、パレスホテル東京、同社が運営する宿泊主体型ホテル「Zentis OSAKA」(大阪市北区)の取り組みについて、各代表が説明。コロナ禍前から中長期的に進めていた改革、近況、コロナ禍後を見据えた事業計画や展望などを明示した。
同社の創業は1960年、パレスホテルはその翌年の61年に開業。2009年から建て替えのため一時休館し、12年にパレスホテル東京として新装、リブランド開業した。同社の代表取締役社長・吉原大介氏は、「コロナ禍以前に取り組めなかった課題に着手できた」とコロナ禍を振り返る。開業10周年の22年には、3月にプレミアスイート(6室)を開業。デラックス2室を1室に統合し、インバウンドのハイラグジュアリー層をメイン顧客と定めた同客室は、「ビジネス、レジャーの両需要を中心に好評を博している」(吉原氏)という。コロナ禍以前の順調な婚礼需要にも対応すべく、9月には同館4階の中宴会場「山吹」を改装した。
プレミアスイート開業が、ハイラグジュアリー層向けのブランディングに大きな役割を果たした
同館の婚礼の業況について吉原氏は、「21年は821組と、一般宴会よりひと足早く回復し、22年は1015組でコロナ禍前の実績を上回った。23年の1組当たり参加人数は70人程度まで回復見込みで、コロナ禍前水準に近づいている」と分析。一般宴会も回復傾向にあるとし、「23年1月から3月までは、19年同期間比で売り上げベースで8割程度で推移している」と分析。「外資系企業トップ来日に伴う各種イベントや海外MICE、ハイブランド富裕向け案件等を受注している」と説明した。
吉原社長
吉原氏は同社が現在進行し、今後も継続していく事業展開についても解説。ホテル事業では、既存のパレスホテル、Zentisの2ブランドを軸にサービスを展開していく。同社初のマネジメント契約で28年開業予定の「アンバサダーパレスホテル台北」(台湾)について吉原氏は、「当社の運営力が試されるステージにきた」と意気込む。国内では、18年に老朽化のため閉館した「パレスホテル箱根」の跡地に東京と同様のラグジュアリーホテルの建設を検討中であること、Zentisブランド施設を国内主要都市に出店していく方針であることを明かした。
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