タップは14日開いた「2016年度タップユーザー会」で「第9回タップアワード表彰式」を行った。同アワードは、「ホテル・旅館全般に関わる、優れたアイデア・事例・提言などを顕彰することにより、業界の発展に寄与する」ことを目的に、同社が毎年実施している論文コンテストで、一般の部と学生の部に分かれている。今回は27本の応募があった。
同アワードの選考委員は、藤野公孝氏(=選考委員長、国際観光文化交流協会会長、全日本シティホテル連盟会長、流通経済大学教授)、玉井和博氏(大妻女子大学教授)、丸山英美氏(サイグナス社長)、飯野智子氏(フェイスアップ社長、公立はこだて未来大学非常勤講師)、村上実氏(オータパブリケイションズ専務取締役)の5人が務めた。
優秀賞は、奈良県立大学国際交流室の作田典子氏による「ヒーリングインバウンド」が受賞。作田氏は、ストレス対策としての東洋的瞑想法に着目。日本全国の檀家のいなくなった寺や神社、広い居間のある民家の畳スペースを活用して行う、ストレス軽減を目的とした「禅」によるコンテンツーリズムを提唱した。
学生賞は、立教大学観光学部の青木理沙さん、白木由莉さん、矢澤秀人さんの「シェアリングエコノミーにおける“民泊の可能性”について」が受賞した。実際に民泊を利用して、ホストにも取材。「民泊の本来の目的は、交流であり、既存の宿泊施設とは異なる価値が売りだ」と分析し、「これまでの宿泊産業では、安心・安全・保障に関して旅館業法のもと厳しく制限されており、顧客に対して社会的に負う責任も大きい。価格には相応の理由があるわけで、きちんとその差を理解したうえで、ゲストには既存の宿泊施設か民泊かを、選択・利用してほしい」などと結論づけた。
また今回、九州国際大学の福島規子教授による「日本のおもてなしの理論的考察~ハイコンテクストサービスを手掛かりとして~」が特別賞に選ばれた。特別賞受賞の理由について飯野選考委員は、「応募27本の中で、文章構成力、論理性が秀でている。観光学博士号を持つ大学教授で、長年の旅館コンサルタント経験もあるプロによる論文であり、他論文と同列での評価は難しい」と説明。内容については「おもてなしサービスについて『ハイコンテクストサービス』と言語化、表現しし、『規格型サービス』と対比して論ずるなど、大変示唆に富んでいる」と述べた。