【道標 経営のヒント 228】新型コロナウイルスとSDGs 佐々山建築設計社長 佐々山 茂


 この原稿を書いている時点で新型コロナウイルスがパンデミックとWHOが宣言し、記者会見で安倍首相が日本ではまだ緊急事態には至っていないと話しています。私のクライアントの旅館も3月は前年比50%程度の稼働で、4月はめどが立たないところがほとんどです。

 考え方を整理する上でSDGsは大変有効と思っていますが、その3番目の目標で「すべての人に健康と福祉を」の中のターゲットとして「2030年までに、エイズ、結核、マラリアおよび顧みられない熱帯病といった伝染病を根絶するとともに肝炎、水系感染症およびその他の感染症に対処する」とあり、今回の感染症の混乱を予想しているかのようです。

 宿泊施設では感染症の一つであるノロウイルスに悩まされていますし、浴室周りのレジオネラ属菌にも注意しなければなりません。

 今回のコロナウイルスでは、ビュッフェでのトングが感染拡大につながるといわれ、宿泊施設でもトングを頻繁に取り換えたり、使い捨てのビニール手袋を置いたり、社員が取り分けたりといろいろと対策を行い、今のところ感染源になったという報道はありません。

 2002年に中国南部で発生したサーズも新型コロナウイルスの一種で最近収まっているようですが、数年ごとには小さな流行があるようです。インフルエンザは予防接種をし、かかったら仕事を休み、学級閉鎖などしますが、それでも年間何千人と亡くなっています。

 今回のコロナウイルスも完全に消えることはないといわれ、ワクチンができるまで大流行にならないように注意深くするしかないと思います。

 人が多く集まるフロント・ロビー周り、食事処周り、浴室周りでは感染予防対策を取らねばならないし、会社内部での健康管理も重要になると思います。

 テレワークで働く人が多いのか、東京では朝のラッシュアワーが緩和されていて、全体的にはコントロールされ、罹(り)病率、死亡率が抑えられているのは日本人の意識の高さだと思います。

 開発を進めればリスクは増えるもので、観光産業が持続可能な発展をする上での問題点のヒントをSDGsの17の目標の中に探しています。生産性向上や水光熱費の削減に取り組んでいますが、建築設計者としてそのほかにも考えなければいけないことが尽きません。

 まずは3月末に向けて感染を抑え込み、経済活動を取り戻すために一人一人が注意して生活するしかないと思っています。

 
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