取材で出会った占いの先生たちによると、来年は今後12年を左右する大切な年らしい。どのように過ごすかで大きく差が開くという。令和の令の部首である「ひとやね」が表すように、その屋根の上に乗れる(いわゆる、上昇気流に乗れる)人は3割ほどだそうだ。そんなキーイヤーを乗り切るための開運アクションを伺ったところ、その一つが“コラボレーション”であると教えられた。
そのコラボレーションのいち早い幸福なかたちを昨晩目にした。英国の名窯ウェッジウッドと英国を拠点に活躍する陶芸家、細野仁美氏による作品だ。細野氏は、ロンドンの大英博物館やヴィクトリア&アルバート美術館にその才能を認められている日本人アーティストとして知られている。
どのような作品かというと、ウェッジウッド独自の素地ジャスパーを使った希少なアートピースである。ジャスパーに革新を起こしたいと考えるウェッジウッドが取り組んでいる「アーティスト イン レジデンス」の一環で、今回、細野氏が選ばれたというわけだ。淡い色彩のジャスパーに、自然を愛する細野氏がアーカイブから選び出したシダの葉や多彩な花があしらわれたベースやボウルは、目にするだけで癒やされる。特に、ウェッジウッドの伝統的なモチーフである小さなデイジーを幾重にも重ねた作品は、光の具合で生まれる陰影が森の中の木漏れ日のように美しい。繊細な花は、千個以上あるそうで、その根気のいる作業は気が遠くなるほどだ。「力の加減が難しかったです。強すぎても崩れてしまい、弱すぎるとくっつかない。職人の方と一緒に試行錯誤で進めました」と、細野氏。コラボレーションで最も印象的だったのも、チームで進める仕事のやり方だったそうだ。「各スタッフがアイデアを持っていて、解決法を一緒に編み出してくれたことがうれしかった」と言う。
ある意味、このコラボレーションは必然だったともいえる。細野氏に、陶芸家を目指した理由を聞くと「陶芸家の祖父の影響もありますが、強く惹(ひ)かれたのはウェッジウッドを知ったからです。そこで英国の美術学校へ行くことにしました」と答えてくれたからだ。では、夢がかなったのですねと言うと、こう返ってきた。「どちらかというと、はじめに戻ったという感じですね」。かなって終わりではなく、すでに次なる構想もあるらしい。あれだけの大作を生み出した原動力がどこにあるのかと思うほど驚くような華奢(きゃしゃ)な体に、少女のままのキラキラと好奇心を秘めた瞳で、はにかむように笑う姿が印象的だった。
ちなみに、細野氏の作品は26日まで日比谷ミッドタウン1階にて展示中だ。ご本人も1カ月ほど日本で活動するという。