前回に引き続き、売り上げ、利益が低下した時の原因究明方法と対策について説明しよう。2020年のオリンピックイヤーを商機として、皆さまの旅館・ホテルでもさまざまな集客策を準備していることだろう。
一方で、せっかくのチャンスの年にもかかわらず、足下の売り上げや利益が低下してしまっているという悩みも聞くようになった。迅速に対処して業績低下を食い止めよう。
5、スタッフの異動やコミュニケーション状況を把握する
中規模以下の旅館・ホテルでは、フロントスタッフが1人、異動や退職しただけで売り上げが減少することがある。その原因をひもといてみると、出迎えや見送りの時の対応がとても好印象で、口コミ件数や点数の引き上げに貢献していたケースが多い。
一方で、接客態度の悪いスタッフが1人辞めるだけで、口コミ点数が上がり、売り上げが向上することがある。日勤のフロントの対応が良くても、ナイトフロントを経験浅いスタッフに任せて顧客クレームにうまく対応できず評価を落とすケースもある。
業績低下時には、スタッフの異動やシフト状況と口コミ件数、点数との関係性を比較して、口コミ低下の引き金となっている担当者変更がなかったかチェックすると良いだろう。
支配人などの管理職と現場とのコミュニケーションが少なく、売り上げ低下の原因に気づかないケースもある。
顕著に影響が出るのが清掃や設備のクレームである。清掃部門から不備に対処するための改善提案が出されてもさまつな話と対応を後回しにする管理職は少なくない。
作業手順や清掃器具の変更により大幅な改善が見込まれることが分かっていても、マニュアル変更のための関係部署の調整や備品購入の稟議(りんぎ)書作成を面倒に思って対処しないことがある。その結果、リピーター離れや口コミ評価の低下により売り上げが減少してしまう。
旅館・ホテルの経営者は、業績低下時に改善策の実行を管理職に任せっぱなしにせずに、スタッフの管理やコミュニケーションに問題がないか、売り上げ低下の原因になっていないかチェックすることをおすすめする。
(アルファコンサルティング代表取締役)