前回に引き続き、すぐに効果が出る経費削減のコツを勘定科目ごとに紹介しよう。好況に見える観光業界であるが、政情不安や災害の影響を受けやすいというリスクを軽視してはいけない。多くの利益が出たからといって節税を名目に経費を使い過ぎてしまうと、万が一の時に資金繰りに窮することになる。好況に見える今だからこそ経費の引き締めを行いたい。
8、求人費
人手不足と採用難を受けて、求人広告費が増加傾向にある旅館・ホテルは多い。中には数十万円かけて新聞折り込みを出して応募ゼロというケースもある。背に腹は変えられないと、いたずらに経費支出するのではなく、なぜ応募が少ないか要因分析をしっかりと行いたい。
典型的な要因としては、募集時の月給や時給、待遇が地域相場を下回ることや求人票に業務内容に関する情報を詳しく記載していないために働くイメージがつきにくいこと等が挙げられる。
このような問題を解決した上で、無料で利用できるウェブ系求人広告媒体を活用することをおすすめする。飲食系のジャンルで求人を出すと有料となる場合があるので、接客・サービスのジャンルで出稿すると良い。うまく活用すれば無料でスタッフを採用することができ、大幅な経費削減につながるだろう。
9、販売促進費
販売促進費として計上されるものは、宿泊料を割り引いた際の差額や売店の試食サンプル、宿泊者へのプレゼント、レストランのPOP制作費用等が挙げられる。販売促進費の支出額が大きい場合は、必ず総勘定元帳をチェックしてほしい。集客効果が得られないのに宿泊者向けに行っているサービスやイベントに余計な経費を使っている可能性がある。
顧客サービスやイベントを検討する会議の場で、従来と同じ内容で良いだろうと安易に結論を出さないようにしたい。販売促進費を使うことでどの程度の集客や売り上げアップにつながったか、より安い経費で実施する方法がないか、他に効果的な顧客サービスやイベント企画のアイデアはないか良く検討した上で支出の判断を行いたい。
(アルファコンサルティング代表取締役)