私たちが使う電気、ガス、油はどれが一番経済的か知っていますか。下の表は電力、A重油、プロパンガス等の比較表です。それぞれ単位と量が違うので比べるのが面倒です。
(2)欄のCO2排出係数は電気で言えば1kwh当たり0.47キログラムのCO2を排出するという意味になります。表の(3)でkwhに換算し、A重油1リットルは10.9kwh、LPG1立方メートルは27.5kwhとなります。(4)はkwh当たりのCO2排出量でA重油はkwh換算では0.25キログラム―CO2となり電気の約半分です。
電気は発電方法でCO2排出係数が違い、2018年度で見ると、最小が関西電力の0.418キログラム―CO2/kWhに対して最大が沖縄電力の0.769キログラム―CO2/kWhで、東京電力は0.462キログラム―CO2/kWhです。化石燃料から再生可能エネルギーに変換が進めば当然数値が下がり、再生可能エネルギーの比率が高いドイツは0.3キログラム―CO2/kWhになっています。
(5)の単価は地域差がありますが、電気30円、A重油100円、プロパンガス400円と仮定すると(6)に示したように電気は1kwh当たり30円、A重油は9.2円、LPGが14.5円となります。(8)に示すように1kwhでは電気はA重油の3.27倍になります。
電気が高いのは70%を占める火力発電の効率が50%程度と低く、送電ロスもあるので効率が悪く、電気ヒーターで暖房すると石油ストーブに比べ約3倍高くなります。
プロパンガスが高い理由は配送コストが高く、地域によって業者によって単価が大きく違うためで注意が必要です。
電気は使いやすいですが、効率を考えて使わないと大変なことになり、オール電化の住宅で床暖房を切っているのはよく聞く話です。
電気はヒートポンプエアコン、LED照明など効率の良い機器が適しています。負荷の変動に合わせてポンプ類をインバータ制御するのも有効です。電磁調理器は開放型のガス機器と比べて効率が良いです。
この表にない薪(まき)や炭は手間暇かかる分CO2排出量はほぼゼロになります。
電気自動車(EV)は1kwhで7キロメートル走り、ガソリン車が1リットルで15キロメートル走るとすると、100キロメートル換算でEVは428円、ガソリン車は170円/リットルで1133円と金額差は明らかです。
脱炭素に向けては各エネルギーの性質と価格を理解して賢く使うことが肝要です。
(エコ・小委員会委員長 佐々山建築設計会長・佐々山茂)