前号の続き。インドには、カレーという料理自体が存在しないって、ホント?
カレーの語源は諸説あるが、インド南部のタミル語でソースや汁を意味する「カリ」が転じたものという説が有力だ。つまり、煮込み料理は全てカレーということになる。だが、今一つピンと来ない。だったら実際現地で確かめてみるしかない。ってワケで、インドへGO! いつものように自力でレンタカー移動するのはムリだろうと、3泊5日で七つの世界遺産を巡るツアーに参加。
ツアーに不慣れなこともあり、ちょっぴり不安だったが、行ってみると参加者はわれわれ3人のみで、集合時間やレストランなど自由に変更してもらえたから、超ラッキーだった。
空路で夕方デリーに到着後はホテルに直行。お待ちかねの夕食だ。まずはスティック状のニンジンやダイコンと「パパド」という豆からできたおせんべいみたいなものを、カレー味のディップでいただく前菜。やっぱり冒頭からスパイシーだ。お次は薄焼き卵をぐるぐる巻いたような一品。同じくターメリックやコリアンダーなどスパイスが効いている。
そして、ヨーグルトとニンニクのスライスが載ったタンドリーチキン。「アチャール」というインドのピクルスが添えられていた。日本で言えば、カレーに福神漬けといった感じの食べ物らしい。この時は大きなキュウリだったが、いろいろな野菜で作るようだ。
続いてインドのコロッケ「アル・ティッキ」。コロッケといっても衣は付いておらず、マッシュしたジャガイモに、生のコリアンダーや青唐辛子、さまざまなスパイスを混ぜて揚げ焼きにしたもので、少々辛い。
メインは当然カレー、と言いたいところだが、カレーという名称ではなかった。一つは、サラサラのスープカレーのような「ラッサム」。これまた日本で例えれば、お味噌(みそ)汁のような物らしい。味付けに使うタマリンドの酸味が特徴。
もう一つは、ヨーグルトや生クリーム、ナッツ類のペーストなどがベースの、クリーミーでマイルドなカレー「コルマ」。具材はチキンをチョイス。辛過ぎず、ホッとする味だった。
メニューを見ても何のことやらサッパリ分からないので、オーダーはインド人のガイドさんにお任せしたが、やはり「カレー」とは記載されていなかった。メニューには、食材とグレービー(カレーソース)の組み合わせが書かれている。例えば「ムルグ・マッカーニ」。ムルグは鶏肉でマッカーニはバターを意味し、バター風味のカレー、つまりバターチキンカレーということだ。
そしてナンとライス。デリーのある北部では本来、ナンやチャパティなど小麦粉が主食で、お米を食べるのは南部。長粒種のインディカ米で、「湯取り法」で茹(ゆ)でるか、またはスチームで供されることが多い。パラッとしたご飯とカレーの組み合わせは最高!
翌日から、いよいよタージ・マハルなど世界遺産へ。カレー探索も続行だぁ!
※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。