時折怒濤(どとう)のマイブームが押し寄せる筆者。今、かなりの割合で頭の中を占めているのが「ロカボ」だ。
ロカボって何?という方のために、まずは3分講座。ロカボは知らなくても、「糖質オフ」や「糖質ゼロ」をうたった缶ビールや缶チューハイはご存知だろう。これらは読んで字のごとし、糖質が低い、または全く入っていないということをウリにした商品である。つまりこの糖質ってヤツが、世のお父さんたちの敵なのだ。
では、その糖質って何? 人間が生きていく上で絶対に必要とされているのが、炭水化物、タンパク質、脂質の三大栄養素。このうち炭水化物を構成しているのが、食物繊維と糖質である。糖質は大切なエネルギー源でもあるが、同時に血糖値を上昇させる成分でもある。血糖値が常に高くなっている状態が、生活習慣病の一つ「糖尿病」だ。
元々日本人は糖尿病にかかりやすいといわれているが、現在その予備軍も含めると、約2050万人にも上るそうだ。インスリンの影響などさまざまな要素があるが、過食や肥満、運動不足なども原因とされている。なるほど、だから生活習慣病というワケだ。
本来糖質を控える食事は糖尿病患者のためのものであったが、実はダイエット効果もあるということが分かり、2000年代に入ると世界的に低糖質食、糖質制限食が流行した。低糖質、つまり低炭水化物を表すlow―carbohydrateの略がLaw Carb(ローカーボ)で、それをさらに短縮させたのがロカボと思われているが、ホントは違うらしい。
ローカーボは極端な糖質制限も含むが、ロカボはおいしく楽しく適正糖質を摂取するものだという。一般社団法人食・楽・健康協会によると、糖質を1食当たり20~40グラム、間食10グラム以下、トータルで1日70~130グラムに抑えるという考え方で、これ以外のカロリー、脂質、たんぱく質などに制限はないそうだ。いわば、ゆる糖質オフである。
やや説明が長くなったが、現在、食品業界はこのロカボ・ブームの様相を呈している。本来は炭水化物であるはずのパスタやカップ麺なども糖質オフ商品がたくさん登場しているし、大手製パン会社も低糖質パンを発売しており、コンビニでも大手2社がロカボ商品を導入している。さらに、糖質制限食がレギュラーメニューに入ったレストランや、ロカボをコンセプトにしたカフェまである。日本のロカボ市場規模は、2017年時点で年間3400億円以上といわれるほどだ。
実は筆者、糖質コントロールとは随分前から関わっている。8年前、糖質制限にチャレンジし、見事8キロのダイエットに成功したことがあった。当時糖質オフのパスタは今のようにおいしくなかったし、低糖質のパンを簡単に入手することもできなかったから、結構つらかった。
その後、メニュー開発なども手掛ける仕事柄、つらい経験を生かし、少しでも楽しくロカボを実践できるよう提案をしてきた。詳しくは、次号をお楽しみに!
※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。